初めて会った平野氏は、ロック歌手のような風貌だった。あまり多くを語ることはないが、親しみやすい雰囲気が滲み出ており、日本の有名作家という雰囲気は全く感じられなかった。話の内容は、作品の創作から中国のイメージへと一気に話題が飛び、その場は大いに盛り上がった。彼は、「日蝕」、「一月物語」、「顔のない裸体たち」、「高瀬川」など自分の一連の小説が、一日も早く中国の読者に読んでもらえる日が来るよう願っていると話した。「一月物語」の中で、中国唐代の詩人・李賀の詩を引用した理由について質問された彼は、「李白や李賀などの詩が大好きで、大学在学中にも古典詩をたくさん読んだ。また、中国の古典文化は日本に非常に深い影響を及ぼしてきた。さらに、明治時代の日本の文学者が漢詩に長けていた例も多い」と説明した。会談の最後に、柳副編集長は、8月の上海ブックフェアに平野氏を招待したいと申し出た。平野氏は全く迷いなく承諾した。
30回以上に及ぶメールのやり取りを経て、平野氏の上海ブックフェア出席の日程がようやく確定した。8月16日、「日蝕」と「一月物語」の中国語版小説が浙江文芸出版社から華々しく出版され、上海ブックフェアの会場に登場した。ブックフェア開催中、平野氏は、著名学者や毛尖、徐則臣、孫孟晋、査屏球ら中国人作家とともに、一連の文学対談イベントに出席し、テーマ講演を行った。多くの読者が、この全く新しいタイプの日本人作家に身近で接触し、彼の2冊の作品を読んだことで、平野氏の作品が中国国内の日本文学愛好家にとって新たな選択肢の一つとなることだろう。また、この新たな選択肢は、東野圭吾や村上春樹らに対する盲目的な支持から抜け出し、より成熟した全面的な見地から日本の現代文学を見直し、現代日本の文化生態を理解する上で有益に働くに違いない。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年8月25日
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