米国のトランプ大統領は今月22日、大統領令に署名し、米通商代表部(USTR)が発表した「通商法301条」の調査報告書に基づき、関連部門に対中制裁措置を取るよう指示を出した。米国がこのようなやり方をする重要な原因の1つは、これによって中米間の貿易赤字を削減したいからだとの見方が出ている。メディアの報道によれば、米国のまとめた統計では対中貿易赤字が1千億ドル(1ドルは約105.6円)レベルに達するが、多くの専門家が米側の統計データについて「正確さを欠き高く見積もられすぎている」との見方を示す。
▽米国の対中輸出に何が影響したか?
国務院発展研究センターの隆国強副センター長は、「貿易の競争力とは根本的には産業の競争力のことだ。中米の二国間貿易がアンバランスである重要な原因は中国市場における米国製品の競争力の低さにある。中米の間では、輸出にせよ輸入にせよ、すべて『市場が決定する』のであり、両国の企業と消費者が自主的に選択した結果が今の現状だ。レート水準が変わらないとすれば、中国は労働集約型製品の分野で黒字になるが、資本技術集約型製品、農産品、サービス貿易の分野ではいつも赤字だ。このことは競争力の強い産業は、黒字も自然と多くなることをよく説明している。米国が米中間の赤字問題を解決したいなら、中国の対米輸出の力をそぐところから始めるのではなく、米国企業自身の製品の競争力を高める努力をすべきだ」と述べた。
中国と比較すると、米国には最も輸出競争力に富んだ分野が2つある。1つは農業だ。米国は自然の恵みが非常に豊かで、労働生産性も高い。もう1つはハイテク産業だ。ただこの分野で米国は輸出を制限しており、特に対中輸出を厳しく制限している。
商務部(商務省)の鍾山部長は、「米国の貿易不均衡は米国のハイテク技術の対中輸出制限と関係がある。米研究機関の報告によれば、米国の対中輸出制限が緩和されれば、対中貿易赤字は35%ほど削減される」との見方を示す。
▽米国の対中輸入はなぜあんなに多い?
グローバル化を背景として、中国は世界の工場になり、米国を含む各国の企業が中国で生産を行い、生産後に中国から米国へ製品を輸出するようになった。このモデルでは、多くの製品が中国の生産統計データに反映される付加価値をもち得ないとしても、対外貿易統計では中国の対外貿易黒字に算入される。
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn