北京時間3月23日、米トランプ大統領は、中国からの輸入品600億ドル(約6兆4000億円) 相当への追加関税や中国企業による米国内の投資を制限する制裁を発表した。
追加関税が実施される分野を詳しく見ると、戦略的新興産業と、製造業の発展ロードマップ「メイド・イン・チャイナ2025」にその重きが置かれていることがすぐに分かる。米国は貿易赤字を改善したいのではなく、今後のハイテク分野における主導権がほしいのだ。
関連分野を見ると、米国の中国市場に対する依存度は、中国の米国市場に対する依存度よりはるかに大きい。例えば、機械工業貿易を見ると、2017年、中国の機械・電気製品の輸出入総額は計3030億ドル以上で、うち米国から輸入された製品は366億ドル(1ドルは約105.55円)と、中国の年間輸入総額の12%を占めていた。つまり、米国にとって中国は必要な市場だ。情報・通信の分野を見ると、専門家は、「米国は技術の発祥地であるものの、第4世代移動通信システム(4G)の発展段階に入ると、中国の基準が世界で重要な位置を占めるようになり、第5世代移動通信システム(5G)となると、中国が大きな主導権を持つようになるだろう」と予想している。北京郵電大学の曾剣秋教授は、「中国の携帯ユーザーは14億人以上で、その規模は米国の数倍に達する。米国が中国との貿易戦争を起こし、中国市場を失うなら、米国は中国よりも大きな損失を被るだろう。紡績業界を見ると、現在、中国が米国に輸出している製品が米国の紡績市場の36.9%を占め、米国の中・低所得層の生活用品の消費問題を解決している」と指摘する。
中国貿易促進会研究院国際貿易研究部の趙萍部長は、「トランプ大統領が貿易戦争を仕掛けている目的は、雇用を確保することで、低所得層により多くの就職の機会を与えることだ。ただ、所得水準が上がっても、支出が大幅に増えれば、貿易戦争で実際に損失を被るのは米国の中・低所得層ということになる」との見方を示す。
今回の米国の追加関税が実施される産業はどのように対応すべきかについて、専門家は、「改革開放を推進し続け、イノベーション牽引を堅持することこそが、中国にとって最もベストな対応策」と指摘する。さらに、清華大学経済管理学院の陳煜波・副院長は、「米国は現在、ハイエンド製造業を国内回帰させようとしている。中国の最先端の製造業は、米国のそれにとって強力なライバルとなっている」と指摘する。
中国世界貿易組織研究会の霍建国副会長は、「現在、中国の技術革新、イノベーション牽引という発展戦略は飛躍的に変化しており、それも大きなカギとなっている。中国は貿易戦争をするつもりも、仕掛けるつもりもない。中国は交渉で解決することを望んでいる。両者は、大きな貿易戦争によって共倒れを招き、今の発展の勢いを止め、世界経済の回復にも悪影響を及ぼすことを悟らなければならない」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年3月29日
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