このような課題について、この舞台劇のメインクリエイターは、「原作の日本式の文化的視点を捨てて、中国人の視点からストーリーを描くとすれば、アイデンティティの問題が出てくる」と頭を悩ませた。
小説「回廊亭の殺人」では、息が詰まるほど恐ろしいシーンもあれば、残酷な運命の設定もあるほか、作者のはかなく貴い命に対する思いも込められている。一方、舞台版では、ミステリアスなストーリーのほか、主人公の「大好きだった恋人」に対する強い思いも全体を貫いており、それらが複雑に絡み合い、非現実的なことと現実的なことが折り重なって進行していく。舞台では登場人物のセリフが適度にシンプルにまとめられている一方、役者の体の動きを使った表現を強化し、言葉は発さなくともそれぞれの心のうちを感じ取ることができるよう工夫されている。
例えば、東野圭吾が大の「仮面好き」であるのと同じく、「回廊亭」に来る人はみな偽善的で、「仮面」をかぶっている。舞台版では、原作のミステリアスな部分や推理小説的要素を再現しているだけでなく、象徴的な舞台スタイルや手法を通して、東野圭吾の女性に対するネガティブな思いを引き出し、見逃されがちなすべての人々に関心を示し、そのような女性が発揮する驚くほどの力はどこから来るのかを探っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年1月14日
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