今週の火曜日(5月28日)にオークションハウスの世界的大手「クリスティーズ」による春季オークション「中国近・現代書画」で競売に出される予定だった任頤(任伯年)の作品「澹黃楊柳帶棲鴉」(ロット番号1393)に関し、クリスティーズが出品を取り下げた。その原因について、「オークション前の展示に訪れた子供が作品の下半分を破損したから」という説が流れている。北京青年報が伝えた。
「澹黃楊柳帶棲鴉」は1899年の作品で、150万-250万香港ドル(1香港ドルは約13.95円)の価値があると見積もられていた。作者である任頤は、清代末期に活躍した著名な画家で、「海(上海)派四傑」の一人であり、彼の作品は近代花鳥画に極めて大きな影響を及ぼした。
任頤の作品は、彼の存命時から大変有名だった。香港のサザビーズとクリスティーズの競売大手2社は、1986年から毎年、任頤の作品のオークションを行っている。1986年5月、初めてサザビーズのオークションで競売にかけられた「人物冊」は、16万香港ドルという高値で落札された。1991年にオークションに出された掛け軸「鍾馗」の落札価格は93万香港ドルに達した。
オークション前に作品が破損したケースは今回だけではない。昨年5月、香港のフランス文化関連イベント「ル・フレンチ・メイ」が主催して香港大会堂で開催された「ニース派:ポップアートからハプニングアートまで」展で、フランスの現代美術作家であるイヴ・クラインの「クライン・ブルー」作品を子供が誤って破損し、物議をかもしたことがある。