中国環球電視網(OGTN)のキャスターの劉欣氏は招待を受けて30日、米国ニュースチャンネルのフォックス・ビジネスのキャスターを務めるトリッシュ・リーガン氏と、中米貿易などをテーマに公開ディベートを行った。中国のキャスターと米国のキャスターが真っ向から対決したのは今回が初めてだ。双方は公平な貿易、知的財産権、華為技術(ファーウェイ)、関税、中国の途上国認定などについて、16分間にわたり議論した。「北京商報」が伝えた。
ディベートを見たネットユーザーによると、この「1対1のディベート」は思ったほど激しいものではなく、友好ムードのインタビューのようで、ある意味では、落ち着いた穏やかな対話は舌鋒鋭く言葉を戦わせる論戦よりも意義があるという。というのも、中米の女性キャスターが空間を隔ててネットワークでつながったことから、双方が公開の場でコミュニケーションをはかるルートが引き続き有効であること、交流を望む双方の心情は今も開放的なものであること、理性的で冷静で抑制的な姿勢で相対しようとしていることがわかり、経済貿易の問題に紛れ込んだ誤解や怒りや八つ当たりを知り、意見を交換することで共通認識を見いだそうとした。
中米通商交渉は最近、かみ合わないことが多いが、実は頻繁にコメントを発表する中国政府高官も、トランプ政権の独断専行に抗議する米国の企業や主要メディアも、それぞれ同じような理念、似通った理念を伝えてきた。それは中米貿易摩擦のエスカレートは問題の解決に役立たず、天にツバするようなものでしかないということだ。中米は協力すれば共に利し、争えば共に傷つく。
数日前、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の郭樹清会長は中米貿易摩擦に対する見方を明らかにし、「米国は事実上、対中貿易から極めて大きなメリットを得ている。中米貿易摩擦がエスカレートすれば、米国が同じくらいの打撃を受けることになる。中国の輸出が縮小すれば、米国企業の利益が損なわれ、一部のハイテク企業の収入が減少し、米国の消費者と輸入企業が高いコストを支払うことになり、中・低所得層が、とりわけブルーカラーと農業従事者が受ける実質的な損失はより大きいものになるからだ」と述べた。
ボアオアジアフォーラムの周小川副理事長は29日にインタビューに答えた際、「米国が米国内外の企業や社会各界の反対を押し切って、思うままに関税を上乗せしていることは、誰にとっても利益にならず、最終的に損害は米国自身の利益に及ぶ。中国経済は今は挑戦に直面しているが、強靱性が高いため、自ら調整し、構造を最適化することができる」と述べた。
今回のディベートが静かで深いものになった根本的な原因は、中米の経済貿易というテーマの中の多くの道理は言わずとも明らかだからだ。世界最大の2大エコノミーとして、中米貿易の中の赤字にはどちらか一方しか成り立たないといった利益の対立はなく、それどころか巨額の利益をお互いに与え合う可能性が潜んでいる。たとえば中国の物品貿易の黒字は世界の産業分業の結果だ。中国はサービス分野では力強い優位性をまだ備えておらず、今後さらに開放を進め、特にサービス産業の開放を進めていく。互恵協力によらなければ、米国企業は潜在力に富む中国の巨大市場を絶えず開拓していくことはできない。
中米貿易紛争を解決するには、より大きく広い時代的背景の中で全面的な考察を行わなければならず、守成の大国は新興の大国の利益追求を尊重しなければならず、新興の大国も歴史的に形成された力の差を直視しなければならず、お互いに良好な相互連動の秩序を構築するよう努力しなければならない。中国で変わらないことといえば、企業のガバナンス構造を整えるという目標は変わらず、金融業の対外開放を揺るぎなく推進することも変わらず、中国の発展のために自分たちのことをしっかりやるというところに足場を置くということも変わらない。
雨降って地固まるという。劉キャスターが最初のあいさつの中で、「直接対話する機会を与えてくれたトリッシュにとても感謝している」と述べたように、今回のバトルと銘打った対話の機会は、よりよいベターを追求するためのものにほかならない。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年5月31日