中国のレアアースはなぜ世界の戦略資源になったのか?

人民網日本語版 2019年05月31日10:16

最近、次から次へと関税の圧力を中国にかけている米国だが、その長々とした追加関税対象製品リストには、中国のレアアース(希土類)が加わったことは一度もない。レアアースはなぜ戦略資源になったのだろうか。レアース問題で米国、日本、欧州はこれまでどのように中国を「包囲」してきたのだろうか。新華網が伝えた。

▽「独走状態」の中国レアアース

多くの人はレアアースをあまりよく知らないし、レアアースがなぜ石油に匹敵する戦略資源になったかを知らないと思われる。

簡単に言えば、レアアースとは典型的な金属元素のグループであり、珍重される理由としては、埋蔵量が少なく、再生が不可能であり、分離・精製・加工の難度が高いからだけではなく、さらには農業、工業、軍事などの産業に幅広く応用され、新材料製造における重要なよりどころであり、また最先端の国防技術開発に関わるカギとなる資源であり「万能の土」と呼ばれているからだ。

レアアースがなければ世界はどうなるだろう。2009年9月28日付の米国紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」がこの問いに答えを出した。レアアースがなければ、テレビのモニター、パソコンのハードディスク、光ケーブル、デジタルカメラ、大半の医療用画像機器がなくなってしまう。レアアースには強い磁石を作り出せる元素があり、この強い磁石が米国国防システムのストックする弾道ミサイル誘導システム全体に関わる極めて重要な要素であることを知る人は少ない。レアアースがなければ宇宙船の打ち上げや衛星に別れを告げなければならないし、世界の石油精製システムも稼働停止になる。レアースは未来の人々がより重視することになる戦略資源だ。

「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」。この言葉から中国レアアース資源の重要さがうかがえる。

中国のレアアース鉱山の埋蔵量は世界一で「独走状態」にある。15年の埋蔵量は5500万トンで、世界全体の42.3%を占め、どっしりと世界一の座に座った。中国は17種類あるレアアースをすべて提供できる唯一の国でもあり、特に軍事用途が突出した重レアアース(重希土類)でより多くのシェアをもつ。中国の白雲鄂博鉱山は世界最大のレアアース鉱山であり、中国レアアース資源埋蔵量の90%以上がここにあり、現地は「レアアースの都」と呼ばれる。

中国のレアアース埋蔵量は多いが、「独占」状態にはほど遠い。とはいえ15年の世界レアアース生産量は12万トンで、中国の寄与分は10万5千トンに上り、世界シェアは87.5%に達した。

探査が十分に行われていない状況の中でも、世界のレアアース資源の確認埋蔵量は1千年分の採掘をまかなえるほどといい、世界規模でみるとレアアースはそれほど不足していないことがわかる。中国の世界レアアース市場への影響力は、埋蔵量でなく生産量により多く集中して現れている。

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