価格全面上昇で米企業・消費者が貿易戦争終結を呼びかけ

人民網日本語版 2019年05月24日15:25

米国は中国からの輸入品に追加関税を課して、中国に打撃を与えようとしたが、まさかこの「関税の弾」が米国の企業と消費者に当たり、自国の企業・消費者がつけを払う羽目に陥るとは想像もしていなかった。中国新聞網が伝えた。

▽「足元まで」軒並み値上げ

米国は中国からの輸入品2千億ドル(1ドルは約109.6円)相当に関税を上乗せして税率を25%とし、これによってもたらされたのは米国国内の商品価格の値上がりで、そのつけは米国国民が支払うことになる。

たとえば靴なら、米国の消費者は1足あたり50ドルほど余分に支払うことになる。米靴業界団体のフットウエア・ディストリビューターズ・アンド・リテーラーズ・オブ・アメリカの試算では、関税引上でスニーカーの販売価格はこれまでの150ドルから206ドルに値上がりするという。

デパートはどうか。米デパートチェーンのメイシーズは、「中国との貿易戦争により、一部商品の価格を引き上げる」といい、同デパートの最高経営責任者(CEO)は、「値上げを避ける方法を見つけるのは難しい」と明かす。米最大の小売チェーンのウォルマートも、「トランプ政権が商品に追加関税を課したため、一部商品を値上げする」と発表した。

米国の物価をみると、ここ2ヶ月は上昇幅が拡大している。データによれば、消費者物価指数(CPI)の上昇幅は2月は1.5%だったのが、3月は1.9%に上昇し、4月はさらに上昇して2%になった。

物価上昇で真っ先に打撃を受けるのはもちろん米国の消費者だ。米貿易コンサルティング会社の研究・推計によれば、中米貿易摩擦により米国の世帯支出は平均2300ドル増加するという。

▽つけをはらうのは自国の消費者

トランプ大統領は長らく関税を支払うのは中国側だと強調し、「追加関税は米国に有利」としてきた。それでは米国の一般民衆が追加関税から何も利益を得ないのはなぜか。それどころか追加関税のつけを払うのはなぜか。

経済に法則に従えば、輸入関税の上乗せは貨物の輸入コストを上昇させ、輸入貨物の市場価格を上昇させ、海外からの貨物輸入量に影響を与える。よって輸入関税の引き上げは海外の貨物の輸入を制限する1つの手段となる。

中国の商務部(省)国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長は、「トランプ大統領は関税を支払うのは中国だと強調するが、実際はそうではない。輸入関税は輸入業者が支払うのであり、関税上乗せ後、上乗せ部分のほとんどは米国国内の消費者に転嫁されることになる」と述べた。

白氏は、「中国製品には代替不可能性があり、中国にはスケールの優位性、産業集積の優位性、川上から川下に至る整った産業チェーンといった強みがあり、他のどの国も中国のようになることも、中国の代わりを務めることもできない」と指摘した。

米国の小売産業に関する統計によると、中国は今や米国にとって衣類、靴・靴下類、旅行用品の1番目の輸入源だ。2017年には中国から米国への輸入が米国の当該製品の輸入全体に占める割合は、衣類が41%、靴・靴下類が72%、旅行用品が84%だった。

白氏は、「米国の消費者は消費の硬直的需要が大きく、多くの必需品や耐久消費財は中国抜きでは成り立たない。関税を上乗せすれば、米国政府の税収は確かに増えるが、多くの商品が値上がりすることが前提で、米国の消費者はより多くつけを支払うことになる。よって米国が実際に被る社会的損失は税収の増加分をはるかに上回る」と述べた。

清華大学国際経済研究センターの鞠建東センター長は、「米国の中国商品に対する関税率引き上げは、米国国内の商品価格を引き上げただけで、追加関税のつけは主に米国の消費者と企業が支払うことになる。実際には自国の消費者と企業から税金を徴収しているのと変わりない」と指摘した。

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