王さんは、「これらの作品は自然な流れで始めた表現で、自分自身のリアルな思いや経験も盛り込んでいる。自分にとっては、タイムスリップしたような『古画』を描くのは、水が流れて溝ができるようにとても自然なこと」と語る。
王さんは2008年から、古代書画の複製に携わってきた。
王赫さん
中国の古画は、絹や紙に描かれているが、どちらにしても有機質であるため、必ず劣化し、最終的は消失してしまう。王さんによると、今従事している古画の複製は、古画の「コピー版」を作っておく仕事だ。
王さんは、「中国では昔から、たくさんの古画が複写・複製されてきた。現在、唐の時代の絵画はほとんどない。『唐の時代の絵画』と言われている作品は、実際には、北宋の第8代皇帝・徽宗の時代に複写されたものだ」と説明する。そのため、唐の時代の古画を見ることは非常に難しいものの、宋の時代に複写された「コピー版」を通して、今も唐の時代の絵画を楽しむことができるのだ。
「ドラえもんの松林六逸」
しかし、この仕事をずっとしているうちに、王さんには「表現欲」が湧いてきた。王さんは、「仕事では原作と全く同じように複写・複製をしなければならず、忠実に再現すればそれでいい。でもしばらく経験を積み、いろんなことにだんだん慣れてくると、自ら何かの芸術を表現したいという欲が出てきた。家で複写・複製の練習をしている時に、突然、自分がよく知っていて、おもしろい要素を古画に盛り込んだらどんな感じになるのだろうと思いついた」と言う。
「2018草堂漫游」
ある時、王さんはそうした作品を微博(ウェイボー)にアップしてみたところ、好評を博し、フォロワーがどんどん増えていった。
「ドラえもんの竹院復古」