袁教授の分析では、グローバル化は貿易自由化だけでなく、より重要なことは投資自由化だ。多国籍企業が世界で投資をし、投資対象国が必ずしも消費国ではない。そうすると、生産地と消費地が分離してしまう。こうした状況で、どうすれば貿易の均衡を実現することができるだろうか。グローバル化の環境の中で二国間のバランスを求め、経済学の基本原理に背くようにし、「貿易不均衡になると損をする」と考え、そうして経済貿易摩擦を発動することには道理がないという。
同院の徐明棋研究員は、「グローバル化を背景として、各国が利益のウィンウィンを実現できる国際分業局面と産業チェーンが形成された。産業チェーンを人為的に破壊すれば、米国にとっても、中国にとっても、さらには世界全体にとっても、利益にならない。追加関税という手段を取って貿易戦争を発動し、グローバル化の背景の下で形成されたグローバル産業チェーンと国際分業局面を破壊しようとすれば、自他共に損害を与えるという結果を招くことは確実だ」との見方を示した。
▽米国を含む各国の企業に広大な発展の可能性を提供する中国市場
上海外国語大学国際金融貿易学院の章玉貴院長は、「米国が一方的に貿易戦争を発動し、最大限に圧力をかけるやり方で中国を押さえつけようとする目的は、中国の発展ルートを米国がコントロールする秩序の枠組に組み込むことにある」と述べた。
章院長の見方によると、米国が貿易戦争を発動しても、中米間に形成された経済と産業の分業システムを変えることはできない。中国市場には大きな魅力があり、米国の金融界、企業家、大勢の消費者にこそ最も発言権があるという。
同済大学国家革新発展研究院の石建勳副院長は、「経済の法則は背くことのできないものだ。企業は経済の組織であり、稼げる場所があればそこに行って生産・消費するのは、経済の法則であり、米国政府の一部の者が米国企業に中国からの撤退を強硬に要求するといったやり方は、経済の法則に背くものであり、多国籍企業は応じられるだろうか。結論は言わずとも明らかだ。中国の14億人近くの巨大市場は世界経済の中でますます重要となっており、そして中国には4億人に迫る中所得層がおり、その人数は急速に増えており、世界最大規模の中所得層でもあり、米国を含む各国の企業に広大な発展の可能性を提供している。米国の一部の者が米国企業に(中国からの)撤退を強要しようとするのは、市場経済の法則に背くだけでなく、米国の製造業の負担を増やし、国民生活の改善にもメリットがなく、米国経済自身の発展にも資するところのないものだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年8月29日