「たとえば、中国語の『看』は、日本語では『見る』と訳されることも、『見張る』と訳されることもある。その言葉が使われる状況が異なると、それにつれて意味も変わってくる。このような細かい部分の通訳が正確ではないことが多々ある。だが、私は中国語と日本が分かるので、関係者のためにこうした細部を正確に表現する手助けができる」と星野氏は指摘した。
法律事務所で1年半働いたのち、星野氏は東京に自分の弁護士事務所を設立した。設立からまだ日は浅いが、これまでに、複数のベンチャー企業や中小企業、さらには上場企業から、法律顧問への就任を依頼され、中国で業務展開する際の法律面での支援を行っているという。現在、星野氏は、長期間の法律顧問契約を十数社と結び、仕事をしている。相談予約は、中国の顧客と日本の顧客の割合がほぼ1対1で、仕事中、約5割は中国語を使用している。
星野氏は、「中国系の弁護士として、強い使命感と責任感を抱いている。日本では、警察に逮捕・拘留された後、たとえ外国人であっても、親しい人との面会の際には、日本語を使わなければならず、そこには監視担当の警察官が必ず同席することになっている。一方、弁護士が容疑者と面談する場合には、このような制約はない。あるとき、中国人の母親が、拘留中の息子に面会しに来たことがある。面会現場では中国語は使用禁止なので、2人はただ涙を流しながら見つめ合うしかなかった。私も辛く耐え切れなくなり、警察に自分が通訳するから中国語での会話を認めてほしいと要求した。最終的に、警察官は、この親子が中国語で話をすることを許可した」と、過去のエピソードを語った。
また、星野氏は、「在日中国人に関する法律問題は多くて複雑だ」と話す。言葉での意思疎通がスムーズにいかない上、関連法律知識に乏しいケースもあることから、在日中国人はしばしば弱い立場に立たされる。星野氏は、自分の専門性と言葉の上での優位性を活かして、彼らのために少しでも力を尽くしたいと考えている。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年9月6日