中国各地の観光地でガラス桟道が閉鎖・使用停止に (2)

「ネットで人気」のガラス桟道の未来は暗い?

人民網日本語版 2019年10月31日16:07

〇最大の原因は、安全面の隠れたリスク

ガラス桟道(回廊)は、2007年に米グランドキャニオンに誕生したU字形のガラス製「スカイウォーク」が最初だった。数年後には、中国各地の観光地で、まるで雨後の筍のごとく登場するようになった。伝統的な景勝地にとって、ガラス桟道は、よりバラエティに富んだ観光スポットとしてPRできると同時に、景勝地収入を増やす上でも有利だった。また、ショート動画配信プラットフォームに助けられて、ガラス桟道があることでネット上の「人気観光スポット」となった景勝地もある。

中国中央テレビ局(CCTV)のビジネスチャンネルの記者はこのほど、広西壮(チワン)族自治区南寧市近郊にある竜門水都景勝地を訪れ、観光客が普段の週末に比べてかなり少なく、景勝地がかなり寂しい様子であることに気づいた。確認したところ、景勝地のガラス橋が現在検査・修理中で、失望の色を隠せない観光客が少なからずいるようだった。

実際、ガラス橋が設けられている景勝地の多くは、安全上の事故が頻発していたり、安全面でリスクが存在するため、閉鎖・利用停止に追い込まれている。

2015年、河南省雲台山のガラス桟道は、営業開始後間もなく、ガラスの一部が観光客のステンレス製マグによって破壊された。また、同年、省内の別の景勝地で、観光客がガラス滑り台から転落するという事故が起こった。

2016年9月には湖南省張家界天門山のガラス桟道で、断崖の上から転がり落ちてきた大きな石が観光客の右脚に命中し、粉砕骨折の怪我を負った。

そして2017年には湖北省木蘭勝天景勝地で、観光客が山頂からガラス滑り台で事故が生じ、1人が死亡、3人負傷という惨事となった。

〇国家・各地方による基準の制定・発表が急務に

ガラス桟道の安全上での問題に対処するため、国家担当当局および北京や広西などの各地は、2017年以降、ガラス桟道など危険性の高いプロジェクトの建設および営業に対する規制を実施しており、対象プロジェクトの審査・認可を暫定的に停止している地方もある。

複数の景勝地関係者によると、ガラス桟道プロジェクトに関する国家レベルの建築基準や監督管理に関する規定は、現時点では存在していないという。だが、河北省が昨年8月に発表した国内初のガラス桟道に関する地方基準では、景勝地の歩行用ガラス吊り橋およびガラス桟道の建材・設計・施工に対する明確は基準が打ち出され、同時に、1平方メートルあたり3人以上入ってはならないという厳しい人数制限を実施した。8月1日より施行された同基準は、中国国内初のガラス桟道建設に関する地方基準となった。

業界は、「明確な法律・法規にもとづき、ガラス桟道を擁する景勝地の経営者による開発や観光客一人一人の行為を規範化することで、ガラス桟道の隠れた安全上のリスクを根本から取り除くことができる」と呼びかけている。(編集KM)

「人民網日本語版」2019年10月31日

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング