このような習慣は清朝まで続いた。清朝初期の宮廷画家が描いた「十二美人図」の中に、「捻珠観猫図」という絵がある。この絵に描かれている美人は、丸窓の前で端正に座り、軽くテーブルに寄りかかり、手には数珠をしとやかに握り、腕白な子猫2匹が遊んでいる様子を見ている。
「捻珠観猫図」(画像提供・故宮博物院公式サイト)。
当時の皇室は、これらのペットとしての猫の来歴や名前などを記録していた。歴史は移り変わったが、現在の故宮猫の中には確かに明清期の宮廷猫の子孫もいる。
「萌え」だけが売りではない故宮猫
故宮を訪れる観光客がこれらの宮廷猫に対して抱く第一印象は、「のんびり暮らしていて、しかも甘え上手で可愛いらしい」というものだろう。
故宮の猫(故宮出版社動画のスクリーンショット)。
確かに、彼らの故宮でなかなかいい暮らしを送っている。故宮博物院の職員がキャットフードを食べさせ、さらにはビタミンや消炎薬まで用意されている。
今、故宮でネズミの害を心配する必要がないのは、全て故宮に住む猫のお陰だ。故宮文化財の修復士である王津さんは、「40年あまり前に故宮で働き始めた時、故宮にはまだ猫が少なかった。小さなネズミが窓の下を駆け回っていた。その後、猫がだんだん増えてきて、この20-30年は、全くネズミの姿を見かけなくなった」と、当時を回想しながら話した。
現在、故宮には約200匹の猫がおり、1匹1匹に名前がある。そして彼らは全員、故宮の「保安係」でもある。
故宮の「ネット有名猫」
近年、観光地としての故宮の人気が高まっており、これらの可愛く仕事熱心な故宮猫の中にも、ネットの人気者になった猫が何匹もいる。
2018年FIFAワールドカップ開催中、「白点児(バイディアル)」と言う名前の故宮の猫が、キャットフード用ボウルを使って6試合の勝敗予測に見事成功、ネット上で話題になった。だが残念なことに、同年6月、「白点児」は血栓症のためこの世を去り、多くのネットユーザーからその死を悲しむ言葉が寄せられた。
故宮の猫「白点児」(微博より)。