故宮には、ミステリアスな番人がいる。無報酬で働く「彼ら」は、昼間は赤い壁や黄色の瓦のあちこちに出没し、それが故宮ならではの景色となっている。そして夜になると活発になり、故宮中をパトロールして回る。中国新聞網が伝えた。
「彼ら」とは、故宮に棲みついている猫のことだ。
故宮の猫(画像提供・故宮出版社)。
故宮を訪れると、猫を頻繁に目にする。じっとして動かない猫もいれば、すばしこく動く猫もいる。猫たちは、故宮の重要な「職員」だと見なされている。元故宮博物院院長の単霽翔氏はかつて、これらのミステリアスな「故宮の番人」について繰り返し言及し、「毎日午後5時半になると、故宮の職員は退勤し、猫は仕事を開始する。猫たちは見張りやパトロールを行う」と紹介していた。これらの故宮の「特別な職員」は、今や故宮の「シンボル」になっている。猫を可愛がり、写真を撮るためだけに故宮にやって来る人も少なくない。さらには、キャットフードを故宮に送ってくる人もおり、「来世は故宮の猫になりたい」と投稿するネットユーザーもいるほどだ。
「故宮猫ファミリー」シリーズの文化クリエイティブ製品(画像提供・故宮出版社)。
故宮出版社はこのほど、故宮の猫をテーマとする「故宮猫ファミリー」シリーズの文化クリエイティブ商品を作った。以前故宮博物院常務副院長を務めた故宮出版社の王亜民社長は、「絵本やジグソーパズル、猫のミニチュア玩具が入ったお楽しみ袋のほか、今後は、『故宮猫カレンダー』や『故宮猫アニメーション』など、より多くの故宮猫をテーマとした文化クリエイティブ商品も作る予定だ」としている。
「宮廷猫」の子孫
これらの故宮の猫は、一見したところ、身の回りにいる普通の猫と何ら違いはない。だが、彼らの出自はなかなかあなどれない。
紫禁城の宮廷猫文化の歴史は、明朝までさかのぼることができる。明の皇帝は「猫部屋」を宮中に設け、この世でも最も美しく、最も可愛い猫を選び、宮中で飼う「宮廷猫」とした。