世界貿易機関(WTO)は現地時間の1日、米国政府は採決を遵守できず、中国に対するアンチ・ダンピング関税措置を取り消していないために、中国が毎年最高36億ドル(1ドルは約108.2円)分の米国製品に対する関税を徴収してよいとの裁定を下した。ブルームバーグ社によると、この罰金額はWTOの歴史の中で3番目に高額だという。原稿執筆時点で中国側はこの裁定に対する態度を表明していない。「環球時報」が伝えた。
これは2012年に端を発する、中国と米国がWTOの枠組下で争った訴訟の裁定だ。07年から12年にかけて、米国は中国製の太陽光パネル、風力発電機タワー、シリンダー、アルミ押出形材などの製品にアンチ・ダンピング関税を課した。中国は12年、米国のこのような誤ったやり方をWTOに提訴した。数回にわたる双方の申し立てを経て、19年7月16日、WTOは中国が米国を訴えた反補助金措置案件(DS437)について、上級機関の報告を発表した。裁定は、米国が訴えられたアンチ・ダンピング関税措置11件はWTOルールに違反しているとして、米国にルール違反措置の是正を求めるものだった。中国商務部(省)は今年7月、「WTO上級機関の裁定から改めて明らかになったように、米国はWTOルールに違反し、貿易救済措置をたびたび乱用し、国際貿易環境の公平性と公正性に深刻な損害を与えている」との見方を示した。
高朋弁護士事務所のパートナー銭文■(女へんに捷のつくり)は3日に取材に答える中で、「この案件はとても重要な訴訟ケースであり、最終的な裁定が証明するように、米国のやり方はWTOルールに合致していない」と述べた。ブルームバーグ社は2日の報道の中で、「米国がこれから取るとみられる行動には、指摘を受けた中国製品を対象とする違法なアンチ・ダンピング関税による制限の規定を改定することや、中国との間で紛争を直接解決することが含まれる」と分析した。英BBCは2日の報道で、「この裁定の罰金額は36億ドルに及ぶが、中米経済摩擦が関わる金額が数千億ドルに上るのに比べれば際だって少ない金額だ。とはいえWTOの今回の裁定の象徴的な意義は非常に大きい。今回の裁定が対象となるのは7年前に中国がWTOに提訴した案件だが、裁定が発表された際、中米経済貿易協議はまだ結論が出ていなかったため、外部ではこの裁定が双方の貿易交渉に与えるかもしれない影響に特別に注目している」と伝えた。
10月10日から11日にかけて、中米双方は新たな経済貿易ハイレベル協議を行った。双方共に「実質的な進展を遂げた」との見方を示した。11月1日には、米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長がメディアに対し、「合意はまだ達成していないが、非常に大きな進展があった」と述べ、協議の進展に楽観的な見方を示した。商務部が2日に発表した情報では、1日夜に劉鶴副総理(中国共産党中央政治局委員、中米包括経済対話中国側代表)が米国のライトハイザー通商代表、ムニューシン財務長官と電話で会談した。双方はそれぞれの中心的懸念を適切に解決することについて、真剣かつ建設的な話し合いを行うとともに、原則的な共通認識に達した。双方は今後の協議の予定についても話し合った。