中国の科学者、臨界氷核の存在を初めて証明

人民網日本語版 2019年12月20日14:30

3尺の氷が張るのは1日の寒さによるものではないということわざがあるが、自然界では水の凍結といった相転移現象は非常に普遍的だ。ネイチャー誌は19日、自然界における相転移核形成に関する研究成果を発表した。中国科学院化学研究所と中国科学院大学などの研究者は初めて実験により、水が凍結する過程における臨界氷核の存在を証明するとともに、臨界氷核のサイズと過冷却温度の関係を明らかにした。この成果は古典的核形成理論の予言と高く合致する。科技日報が伝えた。

米国の物理化学者のギブズらは100年以上前に熱力学の原理に基づき、相転移の「古典的核形成理論」を打ち出した。それによると、水の凍結という相転移には核形成のプロセスが必要だ。例えば水の過冷却により小氷核が形成されるが、これが偶然に臨界のサイズを上回り臨界核を形成して初めて、相転移が自動的に発生する。だが、科学者は100年にわたり、臨界核の存在を検証できなかった。

臨界氷核は長時間待たなければ生じないという偶然性、寿命がナノ秒未満という瞬時性、ナノスケールのミクロ性により、既存のミクロ観測技術で捉えることが困難だ。これは数十年にわたる研究の難点になった。研究チームは今回、酸化グラフェンナノシートなどのサイズが固定されたナノ粒子を使い、臨界氷核の探索を行った。実験と理論計算を結びつけることで、臨界氷核のサイズをシンプルかつ明瞭に導き出すことができた。

中国科学院化学研究所の王健君研究員によると、この研究は理論上、水の凍結メカニズム、相転移、さらには統計物理におけるマクロ・ミクロの関係などへの理解を深めた。同時に細胞と組織の低温凍結保存、ワクチンの生産・輸送中の高い活性の維持、航空機などの交通ツールの凍結防止コーティングにおいて重要な応用の価値を持つ。(編集YF)

「人民網日本語版」2019年12月20日

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング