大気汚染観測、新兵器「レーザー針」が登場

人民網日本語版 2020年01月06日14:31

夜の帳が下りるなか、レーザーが輝く金の針のように天空を貫いている。中国科学院安徽光学精密機械研究所環境光学研究センターの専門家である張天舒氏は、「これが大気のテストプローブだ。地上から高度10キロまでの煙霧の分布をリアルタイムでモニタリングするとともに、その成分を分析できる。これは中国人科学者の大気汚染観測における新兵器であるレーザーレーダーだ」と述べた。新華網が伝えた。

一本一本の「レーザー針」は平野・山脈・海上から空に放たれる。また車両や船舶に搭載し、移動することも可能だ。これらの「レーザー針」でつくる3次元・立体型の巨大ネットワークは従来の観測方法を変え、地上付近の大気汚染の死角なき垂直立体観測を実現したとともに、大気汚染対策に向け、汚染物拡散の3次元立体「ロードマップ」を描き出した。

張氏は「レーザーレーダーから発射されるレーザーはプローブのようなもので、地上付近のPM2.5などの大気汚染物質の観測データを直接取得できる。特にネットワーク構築による観測後、すべてのプローブが取得したデータは大気物理・気象モデルの分析に進むことができる。これにより動的かつリアルタイムに煙霧の時間、空間分布、拡散ルート、全体規模などのカギとなる情報を把握し、3次元・立体の汚染物シミュレーションフィールドを構築できる」と述べた。

この新型レーザーレーダーは現在、北京・天津・河北、長江デルタ、四川・重慶などの人口密集地域で普及・応用、そしてネットワーク構築・観測が進められている。全国の設備設置数は約500台。うち北京・天津・河北地域は約200台で、地域全体の観測を実現している。

大気重度汚染の「発生・変化・拡散」の一部始終の核心的な科学問題をめぐり、レーザーレーダーは科学者に向け大気汚染拡散ルートの立体観測ネットワークを構築した。位置が固定される「レーザー針」のほか、重度汚染発生時や重度汚染の過程においては車載走行、航空機搭載観測地上リモートセンシング、衛星リモートセンシング観測も活用される。

張氏は「煙霧を引き起こす主要二次汚染物の地上付近におけるオゾン対策は、今後数年にわたり新たな注目点、煙霧共同対策の突破口になる。これは現在世界的に注目されている重要環境パラメータだ。レーザーレーダーは地上付近のオゾンのリアルタイム立体観測により大きな貢献を成し遂げ、煙霧共同対策に技術サポートを提供する」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年1月6日

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