ハシナガチョウザメがデザインされた切手
ハシナガチョウザメは、2020年を迎えることができなかった。長江特有の生物が、また一つ絶滅したことが明らかになった。澎湃新聞が報じた。
環境科学の学術誌「サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント(Science of the Total Environment)」(電子版)でこのほど発表された研究論文(プレプルーフ=簡易校正版)に、上述の情報が掲載された。
同論文の責任著者は中国水産科学研究院長江水産研究所で首席科学者兼研究員を務める危起偉博士で、筆頭著者は張輝博士となっている。
同論文によると、ハシナガチョウザメは2005年から2010年の間に、すでに絶滅していたと推測されている。
この論文のプレプルーフは、2019年12月23日にオンラインで公開された。
論文(原文)のスクリーンショット
論文で示されたハシナガチョウザメの歴史
実のところ、浙江省杭州市で2019年9月17日に開催された学術会議において、国際団体IUCN(国際自然保護連合)の専門家が、「専門家チームの審議の結果、中国特有種である国家一級重点保護動物に指定されているハシナガチョウザメは絶滅したと見なされる」と報告していた。
これは、ヨウスコウカワイルカ(絶滅危惧IA類【CR】、すでに絶命した可能性あり)と長江ジギョが、専門家によって、子孫を残すことができない「機能的絶滅」を宣言されたことに続く、長江生物の絶滅に関する残念な発表となった。
ハシナガチョウザメが絶滅したほか、中国特有のカラチョウザメとチョウコウチョウザメも、「絶滅危惧種」に認定されている。
「1千斤の臘子、1万斤の象」という諺がある。ここで言う「臘子」はカラチョウザメ、「象」はハシナガチョウザメのことで、ハシナガチョウザメの重さが1万斤(5千キログラム)以上まで大きくなることから、このように言われている。ハシナガチョウザメは大型の魚で、成魚の体長は7~8メートルに達し、すばやく泳ぐことから、「水中の虎」、「中国淡水魚の王」と讃えられており、世界最大淡水魚十種の一つでもある。
(資料写真・ハシナガチョウザメ)
2003年2月1日、中国水産研究院長江水産研究所の研究者が、結果的に最後に生息が確認された1匹となったハシナガチョウザメを捕獲し、その後放流して追跡した。だが、その後、船が座礁してしまい、長江に放したハシナガチョウザメの電波信号も途絶えた。
この時が最後のハシナガチョウザメの確認になろうとは、誰も予想しなかった。この1匹を失ったことは、この種全体を失ったことでもあったのだ。
IUCNの専門家は、「現在のところ、ハシナガチョウザメがまだ生息していることを証明できる資料は、映像も含め、皆無だ。もし誰かがハシナガチョウザメの個体を撮影あるいは捕獲した場合、IUCNは、この種の絶滅危惧カテゴリーを改めて検討する」としている。(編集KM)
「人民網日本語版」2020年1月3日