感染症でテレワークが盛んに 今後「出勤」は不要になる? (2)

人民網日本語版 2020年03月10日11:03

コンサルティング機関のフロスト&サリバンは、2022年に中国のWEB会議市場の規模が445億7千万元(1元は約14.7円)に達すると予想する。データ分析機関の艾媒諮詢(iiMedia Research)によると、2020年春の業務再開期間中、中国の企業1800万社以上がオンラインのテレワークモデルを採用し、すでに3億人を超えるユーザーがテレワークのアプリを使用しているとした。

天風証券の唐海清アナリストは、「今回の感染症の影響は短期的に特定分野の発展を促したというだけでなく、ユーザーが新たな習慣を育てる非常によいチャンスを迎えたという点にも表れており、市場は感染症が産業に与える長期的な影響を重視すべきだ。中国国内のSaaS(Software-as-a-Service、サービスとしてのソフトウェア)業界はこれまで常に市場からソフトウェアに費用を支払うことへの意識が低く、米国のように成熟したビジネス環境が整っておらず、業界全体の発展ペースは相対的に鈍いという厳しい指摘を受け続けてきた。しかし今では大手各社がこぞって無料体験を打ち出し、SaaS型ソフトウェアのダウンロード件数もユーザー登録数も急速に増加しており、今後は有料ユーザーに転換する人が増えて、産業の発展も加速される見込みだ」と述べた。

普及には時間が必要

艾媒諮詢の創業者で最高経営責任者(CEO)の張毅氏は、「目下、ますます厳しくなる競争環境に直面し、人件費は上昇を続け、効率向上とコスト低下を追求している企業にとって、テレワークは企業のニーズにある程度応えることができる。中国はテレワークの普及率が相対的に低いので、企業における連携の前にはなおブルーオーシャンが広がり、大きな発展のチャンスに直面している」と述べた。

張氏は続けて、「しかし今回のテレワークは偶然の産物であり、状況に迫られて拡大したのであり、多くの企業や社員にとっては感染症の影響の中でのやむを得ない選択であり、市場が進化した結果ではない。多くの業界がオンラインでコミュニケーションや連携をはかることが可能だが、数多くの契約や取り引きは最終的にやはりオフラインで実行するようになっている。これがテレワークのソフトウェアにはまだ変えることのできない現実だ」と述べた。

艾媒諮詢のまとめた調査データをみると、ユーザーの60%以上が「テレワークの優位性は勤務場所を柔軟に自由に選べるところ」との見方を示し、50%以上が「テレワークは通勤時間や関連の費用を節約している」とし、40%以上が「テレワークはソフト頼みで、ハード環境の影響を受けやすい」とし、40%近くが「テレワークはコミュニケーションや連携に影響を与える」と答えた。働く人々がこの春のテレワーク期間に使用するコミュニケーションツールのうち、上位3位は微信、電話、QQとなっており、その使用率は順に84.2%、46.3%、35.8%となっている。

上海交通大学中国発展研究院の陸銘執行院長は、「テレワークにはインタラクティブ性の低さや社交的交流の意義を失わせるといった欠点があり、予見可能な未来には、オフラインでのオフィスワークがテレワークに完全に取って代わられることはない」との見方を示した。

平安証券の閻磊アナリストは、「テレワーク市場は短期間で火が付いたが、『オンライン生態系』を構築するにはまだしばらく時間がかかる。感染症が徐々に収束するにつれ、テレワークへの意欲は目に見えて低下すると予想され、テレワーク業界はどうやってユーザーを確保していくかという問題を考えなければならなくなる。中でもデータのセキュリティ、ユーザーの習慣の維持などは重要なハードルであり、飛躍を遂げるには長期的な検証作業が必要だ」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年3月9日 

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