米株また暴落で33年ぶりの下げ幅 パニック解消の妙薬は?

人民網日本語版 2020年03月19日10:04

世界の株式市場は「暗黒の1週間」を終えたかと思うと、「ブラックマンデー」を迎えた。中国新聞網が伝えた。

米連邦準備制度理事会(FRB)が打ち出したゼロ金利と7千億ドル(1ドルは約107.3円)規模の量的緩和をウォール街は評価せず、米株式市場は4回目のサーキットブレーカーが発動した。トランプ米大統領が「米国経済は新型コロナウイルスによる肺炎で景気後退局面に入るかもしれない」と認めたことが火に油を注ぎ、この日のダウ工業株平均は33年ぶり最大の下げ幅を更新した。

FRBは失敗した 米株はさらに下がる可能性も

米紙「ニューヨーク・タイムズ」の分析では、FRBは経済を活性化しようとしたが、ゼロ金利などの「大胆な動き」はかえって経済がまもなく苦境に陥るシグナルだと市場に受けとめられた。FRBの動きは人々の懸念を増大させ、これには感染症が世界の各業界の営業収入に極めて大きな損害を与え、消費ニーズを大幅に冷え込ませ、グローバル経済衰退のリスクなどを増大させることへの懸念も含まれ、投資家がリスク資産をきっぱりと手放すようになった。

ジョーンズトレーディング社のマーケットストラテジストのマイケル・オローク氏は、「FRBはやり損なった。FRBが恐怖を感じれば、市場も驚愕する。S&P500種指数はほんの一ヶ月足らずほど前に過去最高を更新したばかりで、FRBはあらゆる通常の手段と非常手段を使い果たした」と述べた。

中泰証券のチーフエコノミストの李迅雷氏によると、「米国金融市場の大幅な調整の背後には、感染症の要因のほか、実は経済の見通しに対する懸念がある。米国民の資産は70%が金融資産で、株式と投資ファンドが半分を占める。よって米株の上がり下がりは国民の資産の多寡に直接関わり、ひいては消費と投資にも影響を与える。歴史的な法則をみると、米株の動きは米国経済全体の動きにほぼ半年ほど先行することが多い。

ウォール街で注目のエコノミストであるエド・ハイマン氏はこのほど、「米国で患者がますます増えているが、どうやらこれは始まりに過ぎないようだ。感染はどれくらい広がるか、状況がどれくらい深刻か、時間がどれくらい続くか、今はまだはっきりしない」と述べ、2020年第2四半期と第3四半期の米国内総生産(GDP)成長率予測を大幅に引き下げてゼロ成長とした。

ゴールドマン・サックスは16日に発表した報告書の中で、「米株のS&P500は13日の終値よりさらに10%下落する可能性があるが、もし感染状況が悪化し、米国経済への影響がさらに深刻になり、これに流動性の不足や高い不確定性などの要因が加われば、S&P500は26%下落して2千ポイントになる可能性がある」と指摘した。

一部のアナリストは、「FRBがどんな措置を取るかはもはや重要ではない。市場のパニック心理を解消できる唯一の方法は、新型肺炎患者の数が減少し始める状況が訪れることだ」との見方を示した。

複数の国が市場活性化目指し緩和政策を採用

感染症の影響により、現在は多くの国・地域で経済成長の予測・目標が引き下げられている。

ゴールドマン・サックスは米国の第1四半期のGDP成長率予測を0.7%からゼロに引き下げ、第2四半期は5%縮小するとした。また韓国のGDP成長率を1.6%から1%に引き下げた。経済協力開発機構(OECD)は20年のユーロ圏の経済成長率を0.8%に引き下げ、昨年11月の予測値1.1%を下回る数字になった。また日本の20年経済成長率をこれまでの0.6%から0.2%に引き下げた。

バンク・オブ・アメリカは20年のグローバル経済成長率予測を3.2%から2.8%に引き下げ、09年以降で最低の水準になった。中国社会科学院世界経済・政治研究所国際投資研究室の張明室長は、「感染症の打撃が世界経済の見通しをさらに悪いものにし、2020年のグローバル経済成長率は2.5%以下に落ち込み、技術的側面での衰退に陥る可能性がある。これも最近の市場大暴落の深層レベルの原因の1つだ」と述べた。

筆者の観察によると、FRBが利下げを行うと、16日にはベトナム、サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェート、スリランカ、韓国、ヨルダンの中央銀行が相次いで利下げを発表した。その前にも米国やアイスランドなどの国・地域の中央銀行が利下げを実施している。国際通貨基金(IMF)も16日、「新型肺炎対策で1兆ドルの融資能力を活用する用意がある」と発表した。

しかし渤海証券の見方では、「FRBの緊急利下げからゼロ金利、量的緩和政策に至る一連の政策は、米国資本市場のバブル化のリスクをさらに増大させ、世界のマイナス金利の流れを強め、世界の中央銀行の金融政策の有効性をさらに低下させることになる」という。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年3月19日

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