「ケチ」の中に楽しみを見いだす中国の若者

人民網日本語版 2020年06月22日10:08

新型コロナウイルス感染症の打撃を受けて、若者の生活に不確実性がもたらされている。インターネットの世界では、若者はケチであることや貧乏であることを隠さないどころか、よりケチであることを誇りに思うようにさえなった。ケチをきっかけにして友だちを作り、ケチのテクニックを交換する。こうしたケチケチぶりを比べ合う若者の行為の背後には、一種のユーモアという要素ももちろんあるが、そこにはさらに、モノを使い尽くそうとし、過度な消費を拒絶する、今の時代における心理状態の変化が潜んでいる。「中国青年報」が伝えた。

節約が習慣になると、若者はケチの行動や手段の中で、より多くの楽しみを見いだしたいと望んでいる。

1988年生まれの宋鵬さんはネットでケチの心得を初めて公開したときのことをよく覚えている。「スリッパの甲を覆う部分が破けたので、安全ピンで留めて履いています」と発信すると、たちまち、よそから北京にやってきたさすらいの身の上の悲しさがこみ上げたという。そこで宋さんは自分なりのやり方で、より積極的な生活の態度を人々に提示し、節約行為を興味深くてみっともなくないものにしようと決心した。

不要品を使って手作りするのが、宋さんの節約のコツだ。数年前に陝西省から一人で北京にやって来た宋さんは、テンポの速い仕事のプレッシャーで息が詰まる思いだったが、借りている部屋に帰れば、手作りした簡単な家具、生活用品、おもちゃやフィギュアを見れば、ホッと一息ついてリラックスすることができた。

宋さんは、「手作りしたものは全部身の回りで材料を集め、ネットショッピングで商品が入っていた箱や割りばしを利用し、作っている時は想像力が大いにかき立てられた。大学時代から作り始めたトランスフォーマー(ロボット玩具)は、すべての部品を設計して、たくさんの楽しみを得られて、価値は計り知れない」と話した。

アカウント「百万張」の運営者である張百万さんは、周りにいる友人からみると宋さんと同じように節約の達人だ。張さんは以前、表示価格6千元(1元は約15.1円)のホテルに700元で泊まったことがある。2万元出してビジネスクラスの航空券を買い、別の航空券2枚をプレゼントされ、計算するとエコノミークラスに乗るより安かったこともある……これらはまさしく張さんがアカウントの紹介文に書いているように、「高品質の生活≠高支出」だ。

実際、より高い「費用対効果」を追求するのが、89年生まれの北京出身者の張さんがずっとやっていることだ。張さんは、「限りある人生を、自分の期待を低くして節約に費やすべきではなく、自分が受け入れられる支出の範囲内で、できる限り自分の心理的な期待を満たすか、期待を上回るようにするべきだ。このような考え方は、若者の原動力をかき立てるが、1つ1つの目標は地に足の着いたものでなければならない」と考える。

張さんは、「自分の家庭環境は一般的で、2011年に大学を卒業して国有企業に就職したが、当時は毎月3千元しかもらえなくて、おいしいものを食べたくてもなかなか難しかった。そこで最初の小さな目標を立てた。『前よりいいものが食べられるようになる』だ。この目標を達成した後で、『正規版のゲームが買えるようになる』という次の小さな目標を立てた……目標を1つ1つ達成すると同時に、本当に自分に安全感を与えてくれる奥義を探り当てた。それは知識の量だ」と率直に語った。

こうした節約の観念は、若者の一部に受け入れられるとともに、インターネット企業で技術職として働く張さんが、仕事の合間にアカウント運営を続ける原動力にもなっている。張さんは今、空き時間があればホテルや航空券、クレジットカードの「楽しみ方」をネットで更新し、研鑽を重ねる中で、今まで知らなかった知識を学び、人脈を広げ、さらに多くのチャンスと楽しみを得ているという。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年6月22日

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