四川省成都市のある飲食店で配達する料理を受け取る同省涼山黎(リー)族自治州出身のネット注文配達員(撮影・李夢馨)。
中国の街中の至る所で今、忙しそうに走り回るデリバリー配達員の姿を見かけることができる。最近、デリバリー配達員は、中国国家職業分類リストに「ネット注文配達員」という名前で盛り込まれた。この巨大な規模となっている職業の現状に迫ろうと、中国人力資源・社会保障部(人社部)は、ネット注文配達員の雇用・景気・現状の分析報告を発表し、彼らの特徴を描き出している。人民日報海外版が報じた。
報告によると、ネット注文配達員には、「モバイルインターネットプラットフォームなどを通して、配達依頼をチェックしたり、受け取ったりし、配達依頼に基づいて、プラットフォームの機能を使って配達ルートを決め、一定時間内に注文された商品を指定の場所に届けるスタッフを指す」という職業定義がある。ネット注文配達員は急増中で、現在、毎日路上を走り回っているネット注文配達員の数は100万人を超えている。
「2019年及び2020年の新型コロナ流行期間中のデリバリープラットフォーム・美団の配達員の就業報告」によると、2019年、美団のプラットフォームを通じて収入を得たネット注文配達員の数は前年同期比23.3%増の398万7000人だった。美団のプラットフォームに登録しているネット注文配達員のうち、25万7000人は貧困者登録されている人で、全体の6.4%を占めている。うち、25万3000人が貧困を脱却し、脱却率は98.4%に達している。
美団のプラットフォームの調査研究データによると、ネット注文配達員には以下の特徴がある。
まず、年齢を見ると、20-40歳が全体の83.7%を占めている。新型コロナ流行期間中、新たにネット注文配達員になった人のうち、20-30歳が45.3%、30-40歳が39.0%を占めていた。
労働時間の長さを見ると、ネット注文配達員の約6割の1日当たりの労働時間は4時間以下で、時間を柔軟に使えるというのがこの仕事の最大の特徴となっている。またその点が、ネット注文配達員をする人にとって最大の魅力にもなっており、それは、空間や時間に縛られることを嫌い、柔軟性のある就業スタイルを選び、生活と仕事の間でバランスを取るといった現代のギグエコノミーの特徴にもマッチしている。
収入を見ると、ネット注文配達員の3割の月収が5000元(1元は約15.5円)以上で、5割が主な世帯収入源としている。
ネット注文配達員の台頭は、消費とテクノロジーの下支えと切っても切れない関係にある。また、ネット注文配達員は、モバイルインターネット技術革新の産物でもある。美団を例にすると、ピーク時には、システムが配達ルートを1時間当たり29億回自動生成している。平均0.55ミリ秒に1回生成している計算になる。また、スマート電動バイクやスマート配送ボックス、スマート音声サポートなどの研究開発も常に行われている。
消費とテクノロジーの力は、今後もネット注文配達員に明るい未来を提供しそうだ。人社部の報告によると、今後5年間、ネット注文配達員は約3000万人必要になると予想している。即時配達サービスの規模が急拡大中で、同分野では長期にわたり人材不足となっており、ネット注文配達員の市場価値は今後さらに際立つようになるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年9月4日