人民元の対米ドルレートはこれまでの上昇周期を経て、最近は低下傾向にある。中国外貨取引センターのデータでは、6月1日の人民元対ドル基準値は1ドル=6.3572元(1ドルは約109.6円、1元は約17.1円)で取引を終えたのに対し、2日は6.3773元、3日は6.3811元、4日は6.4072元で取引を終えた。これと同時に、最近のオンショア人民元対ドルレートとオフショア人民元対ドルレートもそれぞれに低下傾向にあり、人民元の一方的な値上がりへの資金の期待が目に見えて減退し、双方向に変動する状況が強化されている。中国経済網が伝えた。
最近の人民元対ドルレートの低下傾向について、中国民生銀行の温彬首席研究員は、「これは主にドルインデックス(ドル指数)の動きの影響によるものだ。ドルインデックスの変動と米連邦準備制度理事会(FRB)の政策への期待には大きな関係があり、またFRBの金融政策は主にマクロデータの影響を受けている。6月3日、米国が発表したADP雇用統計は市場の予測を上回った。FRBがセカンダリーマーケット(流通企業)の企業債購入に関する制限を徐々に緩和するか撤廃するとの見方を示すと、市場にはFRBが前倒しで債券購入を段階的に縮小(テーパリング)するのではないかとの予測が広がり、このためドルインデックスが急速に上昇した」と述べた。
華創証券研究所の張■(王へんに諭のつくり)所長補佐(首席マクロアナリスト)も、「人民元レートの最近の低下は主にドルインデックスの反発の影響による。全体としてみると、人民元の対ドルレートは双方向に変動している」と述べた。
実際、監督管理当局は最近、人民元レートの双方向の変動は常態になるだろうと繰り返し強調してきた。中国人民銀行(中央銀行)の劉国強副総裁は5月23日、「将来の人民元レートの動きは引き続き市場の供給と国際金融市場の変化によって決まり、双方向の変動が常態になる」との見方を示した。同27日に開催された全国外貨市場自立メカニズム第7回活動会議でも、「今後、レートに影響する市場的要因と政策的要因はたくさんあり、人民元レートは値上がりする可能性も値下がりする可能性もある」との見方が出された。
温氏は、「次の段階について考えると、人民元対ドルレートは合理的でバランスの取れた水準での双方向の変動を維持するだろう。ファンダメンタルズをみると、人民元レートには大幅な上昇・低下に至るベースが存在しないからだ。一方でFRBの金融政策の調整に引き続き注目し、ドル相場に直接的な影響を与えるか、人民元を含む非ドル通貨にも外部的な波及効果が生じるかに注目するべきだ。また一方で、中国国内のマーケットエンティティはレートについて『リスク中立的』の理念を打ち立てる必要があり、人民元の値上がりまたは値下がりの賭けをしてはならない。自身の特徴に合わせて外貨リスクの管理を主体的にしっかり行なうことが必要だ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年6月7日