湖南省長沙市で生まれ育った李胤さん(36)は現在、「屋台」で焼き鳥を売っている。李さんは3人の仲間と一緒に、長沙市で最も賑やかな繁華街である「五一広場」商業市街地で焼き鳥屋を営んでいる。
青年起業家の李胤さん(撮影・袁蒙)。
今年は春節(旧正月、今年は1月22日)明けから、「ネットで人気の長沙」が何度も検索のトレンド入りするようになった。長沙市の新消費もまたすでに中国全土のモデルケースになりつつある。
長沙市が爆発的な人気となっていることで、李さんは「前途は明るい」と自信を抱いており、「春節明けから長沙は急に賑やかになり、他の地域からたくさんの観光客がやってきたので、街全体が以前よりももっと活気にあふれるようになった。うちの店は夜8時半から屋台を開くが、客がいる間は閉めないので、時には明け方の4時や5時頃まで開けていることもある」と話す。
李胤さんが経営する焼き鳥屋「好運焼鳥」(撮影・袁蒙)。
かつては歌手だったという李さんは、「屋台に関しては素人。4人で一緒に経営しており、教育機関で働いていた人もいれば、バーテンダーをしていた人、音楽をやっていた人、日本料理関係の仕事をしていた人もいるが、皆屋台経営の経験はない。ただ皆、自分たちが楽しめることをしたいと思っていた。僕たちは『日本風焼き鳥』を売っているが、実は純日本風の焼き鳥という訳ではなく、湖南の人が好む味付けにしている。日本人の作る焼き鳥は結構甘いが、僕たちが売っているのはどちらかというと塩味がきつめの味付けになっている」とし、「なぜ屋台なのかと不思議に思う人も多い。でも、屋台を開くというのは僕たちにとっては一つのブレークスルーで、僕たちが理解する一種のライフスタイル。これも未来の若者の一種の姿勢だと思う」と語る。
長沙の新消費は、高い消費意欲と能力のほか、消費のスタイル、シーンといったさまざまな面にも表れている。長沙の若者がよく口にするのが、「酒を飲まないと友達ができないのが長沙という街」という言葉。その点については李さんも同じ意見で、「長沙の娯楽スタイルはバラエティに富んでいる。今の若者たちが好んでいるのはこれまでのようなオーソドックスな消費シーンではなく、彼らは人とは違うものをより欲しており、自分の個性をよりアピールしたいと考えている。そのため、僕たちの屋台は雰囲気を提供しているといったほうがいいかもしれない。ほとんどの客は焼き鳥を食べるためだけに来ているのではなく、酒を飲みながら友達を作るために来ている。ここは互いに交流できるスペースになっている。この雰囲気を長沙の方言で言うなら『打流』という言葉になる。それは自由に流れに身を任せ、気ままにという意味。僕たちはそれが長沙スピリッツの一種だと思っている」としている。
李胤さん(写真左)と焼き鳥屋「好運焼鳥」(撮影・袁蒙)。
新しい主流の消費グループは、新しい消費ニーズを生み出し、それに伴い、新たな消費業態が生まれている。長沙市では近年、新消費ブランドや新消費シーンが次々と誕生し、それが中国全土でも話題となり、少しずつ回復しつつある街の活気もまた多くの人を魅了し、観光客が全国から同市に集まるようになっている。これらは全て開放的で繁栄した長沙市のとりわけ恵まれた雰囲気と環境に根ざしている。李さんは長沙の新消費のポテンシャルを見込んでおり、自分探しの旅を今後も続けながら、楽しくできる仕事を探し続けるのだという。李さんは、「この先、屋台を開く若者が絶対に増えると思っている。もしかしたら、屋台よりもっと面白いもの、もっと面白い消費シーンを見つけることができるかもしれない。是非、長沙市に来て気ままに遊んでほしい!」とした。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年3月30日