日本の「所得倍増計画」が成功した4つの点 (3)
(3)知的財産権の保護
労働生産性を高める鍵は、知的財産権を侵害する行為を徹底的に取り締まることにある。日本の市場経済システムでは、経済にかかわる要素はいったん経済システムに入れば、必然的に資本経営に基づき、具体的な資本価値のある資産になる。しかも、すべての資産は明確な所有者に帰属し、所有者の権益は侵害されない。日本では、知的財産権は資本利益であるだけでなく、国や企業の核心的利益であるという考え方が広く受け入れられている。しかし、知的財産権や技術特許は非常に簡単に流失してしまうものであり、資本権益の侵害に遭いやすい。だからこそ、国を挙げて官民一致で知的財産権益を保護し、司法と執行部も厳格に一切の知的財産権の侵害行為を取り締まる。この措置により、日本企業は安心して技術導入や研究開発に大規模投資を行い、自主研究開発や自主革新を奨励するようになった。これにより、労働生産性の向上に必要となる技術的なニーズが満たされ、従業員の所得と企業の国際的な競争力が同時に上昇した。