富士山が世界文化遺産になった理由 日本人専門家が語る (2)
富士山が世界遺産に登録されたと聞くと、多くの人は世界自然遺産だと思うだろう。しかし、実はかなり早くにある自然保護団体が富士山を自然遺産として申請することを政府に提案していたが、採用されず、その後比較論証を行った結果、最終的に文化遺産として申請することになった。小野氏はこれについて、「富士山を世界自然遺産に申請するには、いくつか問題があった。まず、世界中で、富士山のような円錐状の成層火山は決して少なくなく、その中には火山活動がより頻繁で、より代表的な特徴を備えるものも多かった。その次に、自然遺産の条件の一つに自然の本来の姿を保っていること、あまり多くの人間活動がなされていないことがあったが、富士山に登る人の数は非常に多く、周辺の旅行施設も比較的多い。このほか、登山活動には大量のゴミが発生する。これもまた、富士山が世界自然遺産に適さない主な原因だった。しかし、文化面においては、富士山は非常に独特な価値を持っていた。富士山が頻繁に噴火していた古の時代から、日本人は富士山を聖山として見ており、出産などにかかわる日本独特の山岳信仰(富士信仰)が育まれた。太古から、人々は神の庇護を得るために富士山周辺を訪れたり、あるいは富士山に登拝していた。最終的に人と自然が信仰や芸術を通して共生する独特の現象を形成した」と説明する。
小野氏は富士山は決して単なる山ではないと語る。「富士山には、数多くの見えない価値が備わっている」。富士山は日本人の信仰や日本の芸術創作の源泉であり、これこそが富士山が独特な存在である理由だという。小野氏は、富士山が世界文化遺産に登録される最大の意義は世界に向けて富士山の独特な価値を訴求すると同時に、世界に向けて日本文化をアピールできることだと考えている。