中国と対抗し首脳会議でASEAN取り込みを図る日本 (2)
■中国に対抗する共同声明を発表?
「日本・ASEAN首脳会議を覆う中国の影」。ロイター通信はこの見出しの記事で「日本とASEAN10カ国の特別首脳会議が13-15日に東京で開催される。安倍首相はASEAN事務総長および加盟10カ国首脳と相次いで会談するが、『誰もが認識しているが敢えて口にしない重要な問題』は招待されなかった中国だ」と指摘。「軍事大国として台頭し、経済規模で米国に次ぐ中国にアジアは懸念を抱いている」「会議は共同声明で公海の空域の自由を呼びかける。その矛先は中国の設定した防空識別圏に真っ直ぐに向けられている」とした。
ASEAN各国を説き伏せる「気力」が日本にはあるとの分析もある。日本の産経新聞は「日本とASEAN諸国の首脳会議が初めて開催されたのは1973年。今年で40周年となる。安倍首相は就任から1年でASEAN10カ国を全て訪問した」と指摘。共同通信は「安倍首相は今回の首脳会議を就任から1年間の外交活動の『集大成』とすることを望んでいる」と報じた。タイの英字紙「The Nation」は12日付で日本貿易振興機構(JETRO)幹部の話として「今年1-10月に日本の対ASEAN直接投資は14兆円を超えた。同期の対中投資はわずか7兆6000億円だった。対ASEAN投資が対中投資を上回る状況は今年も続く」と報じた。
中国社会科学院日本研究所の高洪副所長は12日「現実的に言って、ASEANの立場を統一させて通用する準則や文書にまとめる企ては以前にもあったが、いずれも成功しなかった。中国の防空識別圏設定については、米国でさえも日本の考え通りに事を運んでいないのに、中国と緊密な関係にあり、善隣、近隣関係の安定、近隣国の経済成長促進という中国の周辺外交戦略圏内にあるASEANが日本の考え通りに事を運ぶなどとどうして想像できよう?」と指摘した。