「古代建築の海外寄贈」騒動 ジャッキー・チェンが釈明
香港の映画スター、成龍(ジャッキー・チェン)が4日、「中国の古代建築物4棟をシンガポール大学に寄贈したい」との意向を明らかにし物議を醸していた問題で、成龍は9日、中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」で、「これほどの騒ぎになるとは思っていなかった。背景にはとても興味深いストーリーがあるので、機会を見つけて、こうなった経緯を始めから最後まで語りたい。でも、絶対に法律に違反するようなことはしないし、中国人に顔向けできないようなこともしないと断言できる。安心してほしい」と釈明した。新京報が報じた。
成龍は4日、ミニブログで、「20年前に安徽省黄山市で手に入れた中国の古代建築物4棟を、シンガポール大学に教材として寄贈したい」とする意向をツイート。「100年以上もの歴史がある建築物は文化財ではないのか」などの声が上がるなど物議を醸していた。
■黄山市、万全の受け入れ態勢
成龍のツイートを受け、安徽省黄山市は8日、「成龍が『徽派建築』と呼ばれる古代建築物を、元々あった黄山市に寄贈してくれるなら、当市も最高の土地と最高の職人、関連の経費を提供する」との声明を発表した。
中国の有名な古代建築物専門家で国家特許一級建築士・程極悦氏は、「現地で保護するのが最適というのが業界の一致した意見。異国の地に移ってしまえば、古代建築物が持つ文化的価値やそこに刻まれる歴史が消えてしまう。それは、文化財に対する破壊的行為。独特のレンガや瓦を使った『徽派建築』は、緑あふれる山や湖などがある場所でしか、その美学的特徴を最大限に発揮できない」との見方を示している。
■流出の危機にさらされる徽派建築
徽派建築は保護が行き届かず、常に流出の危機にさらされていることが、記者の取材で明らかになった。安徽省は1997年、安徽省の長江以南地域にある古代民家の保護条例を発表。築100年以上の民家を移動させる場合、申請手続きを行わなければならないと規定した。それでも、古代民家の流出に歯止めをかけることはできなかった。
2003年、同省休寧県黄村にあった清(1644‐1912年)時代の民家が解体され、米国のピーボディ・エセックス博物館に移送。そのまま再現された。同ニュースは、中国全土に衝撃をもたらした。
「徽派建築」が度々流出の危機に遭っていることは、保護をめぐる難題を浮き彫りにしている。まず、最大のネックは保護に必要な莫大な経費だ。また、農民が団体で所有する「集体土地」に建つ古代民家は自由に移動することはできず、社会がその運営に参加することが難しいことも問題の1つだ。さらに、ほとんどの古代民家や関連の文化財は個人所有で、容易に破壊、流出してしまう。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年4月11日