中国農民工同士の「臨時夫婦」10万組超 インド紙
中国では、農村から都市に出て働く出稼ぎ労働者「農民工」同士の「臨時夫婦」が、10万組以上いる。その多くは、配偶者を故郷に残し、独りで都市に出ている既婚者だ。出稼ぎブームの背後で、夫婦別居状態が長期化することによって、都市で「臨時夫婦」が誕生する傾向が高まっている。昨年、農民工として国内で初めて全国人民代表大会(全人代)代表に選ばれた劉麗さんは、「多くの人は、この事実を聞いて驚くかもしれないが、農民工にとっては、決して珍しいことではない」とコメントした。16日付インドの英字紙「タイム・オブ・インディア」を引用して環球時報が伝えた。
統計データによると、中国には現在、2億5千万の農民工がおり、うち21歳から50歳が8割を占めている。専門家は、「出稼ぎ先でパートナーを見つけ同棲している農民工同士のカップルは、すでに10万組を上回った」と指摘。農民工との労使関係を良好に保ち、生産性を高めるため、このような「臨時夫婦」に夫婦用の住宅を提供する企業も少なくないという。
これらの「臨時夫婦」のうち、すでに結婚しており、故郷に配偶者がいる人は、73%以上に上る。劉さんは、「故郷を離れて臨時就労する場合、多くの人が、長期間独り身で寂しく過ごすことは耐え難いと思っている」と指摘した。あるメディアは、彼らを擁護する立場をとり、「農民工が『性的な飢え』という問題をこのような形で解決することは、道徳的な責任問題や故郷で待つ配偶者との夫婦関係を壊すリスクはあるが、風俗店でお金によって解決するような違法行為に比べると、より安全で健全といえよう。さらには、一緒に暮らせば、炊事なども含め、経済的にも実益がある」と報じた。
これまで中国の政府がこのような問題にコメントすることはなかった。しかし、多くのネットユーザーは、驚きを示し、批判している。「このような堕落した男女関係が蔓延するのを放任しておけば、弱い立場にある農民工女性が真の被害者になってしまうことは目に見えている」と警告する人もいる。
某メディアは、さらに一歩踏み込み、このような現象の背後にある社会的な原因について、次の通り分析している。「『臨時夫婦』という現象は、『未完成状態』の都市化、『待ったがかかった』人口流動機制、平等の権利がまだ確立していない都市・農村二元体制などの原因からもたらされた。長期的に見て、この問題を根本的に解決するためには、制度改革と体制完備を実現することで、農民工の行き詰った生活状態を改善する方法しかない」。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年5月17日