長沙の「世界一の超高層ビル」 無認可のため建設中止
現在世界で最も高いドバイ(アラブ首長国連邦)の「ブルジュ・ハリファ」を10メートル上回る長沙の「天空城市(838メートル)」が、着工からわずか4日後、法律にもとづく建設認可申請を行っていなかったとして、関連部門から建設中止命令を受けた。湖南省住宅都市農村建設庁は、「天空城市」プロジェクトは、現時点で、まだ建設認可申請手続きを行っていない」と明言した。国際金融報が報じた。
関連部門はこのほど、開発を担当している遠大集団に対し、「建設の安全性と合法性を確保するため、法律にもとづく建設認可申請を行って建設認可を得るまでは、工事を進めてはならない」とする公文書を送った。東南大学の張馬林教授はこれについて、「建設認可を得ないまま着工することは、明らかに規則違反だ」とコメントした。
○多くの疑惑
「天空城市」プロジェクトは、発表以来、さまざまな疑惑を呼び起こしている。
建築計画によると、「天空城市」は高さ838メートルと、現在世界一のドバイ「ブルジュ・ハリファ」より10メートル高い。建物は、住居エリア、オフィスエリア、有機農場、娯楽施設、学校、病院など各施設で構成され、収容可能人数は3万人、入居可能世帯は4450世帯を上回る。
遠大集団の資料によると、このような巨大スケールの「天空城市」の建設には、遠大集団が持つ持続可能な建築技術が採用され、工期はわずか7カ月(基礎工事期間を含まず)と、5年から10年という超高層ビルの標準工期よりもはるかに短い。ちなみにドバイの「ブルジュ・ハリファ」の場合は、2004年9月21日の着工から2010年1月4日の竣工・営業開始まで、5年あまりを要した。
異例の短い工期に、多くの専門家は疑惑の声を上げた。工期のほか、安全品質についても疑惑が湧き起こった。湖南大学建築学院の教授は、「高層ビルは、耐風・耐震試験性能試験を実施しなければならないが、これらの試験についても行われるのかどうか極めて怪しい。発表された建造費を見る限り、ビルの形をしているが、中身は空っぽとなる恐れがある」と指摘した。
北京清華都市計画設計研究院の尹稚院長は、「遠大集団が採用する建築技術は、国際的にも過去の先例がない。また、建設費もかなり低く見積もられている。世の中を驚かせるような最新の建設技術が用いられ、非常に大きなブレイクスルーが実現するのか、或いはただのペテンか、考えられるのはどちらかだ」との見方を示した。