長沙の「世界一の超高層ビル」 無認可のため建設中止 (2)
○「超高層ビル」崇拝
超高層ビルにはさまざまな問題があるが、中国各地に続々と登場し、かなりの数に上っている。長沙の「天空城市」以外に、上海一の高層ビルとなる「上海タワー」も来年竣工の予定で、深セン平安保険の本社ビルも建設が進められている。
2012年度統計データによると、世界の高層ビルトップ20のうち10棟は中国にある。現在建設中のものも含めると、2014年の時点で、世界の高層ビルトップ20のうち13棟は中国のビルだ。「摩天城市報告」の統計データによると、世界中で建設中の高層ビルのうち、87%は中国で建設されている。また、5年後、中国の高層ビルの総数は、現在の米国の高層ビル総数の4倍にあたる800棟を上回り、このうち80%は経済未発達地域である内陸部に建設される。復旦大学の孫立堅教授は、「地方に建設される高層ビルが大きな経済効果をもたらすものであるならば、建設ラッシュも悪くはない。だが、地方政府が高層ビルの建設で現地の発展をけん引するつもりならば、高層ビルだけで発展が実現すると思うのは間違いだ」と指摘した。
南京大学商業学院の宋頌興教授は、「高層ビルを建設すると、地方のGDPは急成長が期待できる。しかし、市場経済の面から見ると、ビルが高くなれば高くなるほど、建設コストも高くなり、のちのちのメンテナンスなど、さまざまな問題が噴出するだろう。政府は、高層ビルの建設を簡単に推進するが、都市の調和的で健全かつ持続可能な発展とのバランスをいかに取っていくかは、かなり難しい問題だ」との見方を示した。
○「高層ビルの呪い」は真実?
世界一のビルだけではなく、あらゆる高層ビルにも「呪い」の効果あり
独ドレスナー銀行のアナリストだったアンドリュー・ローレンス氏は、かつて、「高層ビルが建設されるとその国の経済バブルが崩壊する」という法則を発見した。
ローレンス氏は、「ニューヨークのクライスラービルが1930年に竣工、エンパイアステートビルがその翌年の1931年に落成し、世界一の超高層ビルとなったが、世界大恐慌が始まる直前だった」と分析した。1970年代、ニューヨークの世界貿易センタービル(ツインタワー)とシカゴのウィリス・タワーが完成したが、これは1974年の第一次オイルショックの前兆となった。1997年、クアラルンプール(マレーシア)のペトロナス・ツインタワーが世界一の超高層ビルとなったが、その後アジア全体を巻き込む金融危機がぼっ発した。その後、2010年にドバイ「ブルジュ・ハリファ」が竣工、世界一となった。これはまさに、世界金融危機の時期と一致した。ローレンス氏は、「一般的に、超高層ビルをはじめとする各種高層ビルの建設は、巨額の資金を調達しやすいバブル期に着工するが、最後には衰退の一途を辿る」と指摘していた。
ローレンス氏が発見した法則は果たして真実なのだろうか?復旦大学の孫立堅教授は、「これは極めて面白い現象だが、高層ビルは新技術のシンボルにすぎない。どのくらい高い建物を建てられるかというのは、あくまでも最新技術の体現であり、市場のバブル崩壊や金融危機の引き金となるという相関関係は、必ずしも認められない。このような言い方の裏には、世の中の注目や人気を集めようという目論みがあるのだろう」との見方を示した。
南京大学商業学院の宋頌興教授は、「高層ビルの建設ラッシュは、不動産バブルの拡大に結び付いた。地方政府は高層ビル建設熱に対処することができず、冷静に判断することなく、むやみやたらに高層ビルを建てまくる。通常、これが坂を転げ落ち、衰退するきっかけとなる。これまでにも、海外でいくつかの先例があった」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年7月26日