「土豪」や「大媽」が世界で話題になっても素直に喜べないワケ
1つの言語が世界の言語体系に融合していくというのは、世界の人がいくつかの単語に興味を抱くというだけのものではない。言語は一種の媒体であり、豊富な文学や最新の文化、最も優秀な文明がそこに含まれているはずだ。光明日報が報じた。
英国放送協会(BBC)はこのほど、中国でホットワードとなっている、金持ちを意味する「Tuhao(土豪)」の語源や意味、流行している原因などを紹介する動画を制作し公式サイトにアップした。また、今年4-6月、中国国内の金の購入量が385.5トンと過去最高を記録し、購入者の多くが中年の女性だったため、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国語で「おばさん」を指す「dama(大媽)」という言葉を使い、「世界の金市場に影響を与える新鋭軍」と同現象を報道した。このように、多くの中国語の単語が西洋諸国の言語体系で出現するようになっている。
海外で話題になる前、「土豪」は中国国内で大流行した。ホットワードは時代の特徴を反映していることが最大の特徴で、かつて流行した「給力(素晴らしいの意)」や「山寨(パクリ・盗作品の意)」のように、瞬く間に所構わず広がっていく。そして、生活のあらゆるシーンで見聞きするようになる。さまざまなホットワードが登場することは、社会の移り変わりをある程度反映していると言えるだろう。新しい単語や言葉は、新しい物や状況を反映し、言葉の意味が合理的であれば、時代の特徴を表すだけでなく、言語の内容を豊富にすることもできる。
中国のホットワードが海外でも話題になる根本的な原因は、中国の影響力が向上したことにある。西洋諸国の中国に対する見方は「無関心」から「軽視できない」に変化した。改革開放(1978年)から数十年で、西洋諸国が中国を見る目にも変化が起きているのだ。過去は1つの国家として大きな視野で見ていたが、今は庶民の生活の細部へも目を向けるようになり、政治の動向だけに注目していたのが、歴史や文化にまで注目するようになっている。ただ、海外で話題になっている中国語の言葉をよく見ると、「土豪」や「大媽」、「功夫(カンフー)」など、どれにも偏狭的で揶揄する含みがあることに気付く。つまり、海外で中国のホットワードが話題になっているからと言って、「中国語ブーム」であるとか「中国文化ブーム」だと、手放しで喜ぶことはできないのだ。
中国近代の著名な作家・銭鐘書は小説「囲城」の中で、海外で哲学を学んでいたチュー(ねへんに者)慎明を揶揄し、次のように書いている。
(バートランド・ラッセル(英国の哲学者)と知り合いなのかと聞かれ、)チューは「あいつはなかなか友達がいのあるやつだよ。いろいろな質問に答えて、問題を解決してやった」と答えた。チューは確かに嘘はついていない。ラッセルが1度彼とお茶を飲んだ時、「いつ英国についたのか」、「これからどうするつもりか」、「紅茶には砂糖をいくつ入れるのか」など、確かに彼にしか答えられない質問をしたからだ--。
劣等感から自分を欺かなければならないのは、中国がかつて文化に対する自信を失っていたからだ。しかし、今の中国は違う。中華文化を海外に発信するためには、まず文化に対する自信を築かなければならない。
別の例として、最新のオックスフォード英語辞典には、中国の宇宙飛行士を指す「taikonaut」という単語が新たに加わったことがある。「taikonaut」は中国の宇宙飛行技術の発展が世界に認められていることの証であり、これこそ誇りを感じる中国のホットワードである。1つの言語が世界の言語体系に融合していくというのは、世界の人がいくつかの単語に興味を抱くというだけのものではない。言語は一種の媒体であり、豊富な文学や最新の文化、最も優秀な文明がそこに含まれている。言語は上品に社会に溶け込むという特徴を備え、全く欠けた所のない法典であるべきだ。中国はさらに多くの「taikonaut」のような積極的で重みのある言葉を必要としている。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年11月13日