ネット上に登場した「e遺言状」 専門家「法的効力なし」 (2)
○専門家:「30歳での遺言状作成、早すぎることはない」
30歳そこそこで遺言状を作成するなんて、あまりにも早すぎるのではないか?専門家は、「30歳過ぎは、肉体的・精神的にピークの時期だ。だが同時に、早すぎる『死』のリスクにも直面している。早いうちから遺言状を作成することは、法律に対する若者の意識の高まりを表している」との見方を示した。
一部の若い人が、万が一の事について意識的に考えることによって、残された家族の間の揉め事を避けることができる。
また、心理学の専門家は、「若い人が遺言状を作成する背景には、彼らが不安感を抱き、リスクが身近に迫っていると感じている現状がある。また、親心や愛情の表現でもあるのだろう。一部の1980年代生まれは、自分に万が一の事があった場合に、身内が勝手に自分の財産を処理することを心配しており、早めに手を打っておこうと考えている」と指摘した。
○弁護士:「e遺言状は法的効力なし」
盈科弁護士事務所の蘇奕欣・弁護士は、次の通り説明した。
中国の法律では、▽自筆による遺言 ▽代筆による遺言 ▽録音による遺言 ▽口頭による遺言 ▽公正証書による遺言、の5種類だけを、有効な遺言として認めている。
e遺言状は、この5種類の遺言には属さないため、法的効力を持たない。また、ネットワークそのものがバーチャルの世界であり、遺言状を作成したのが本人かどうかを確かめる方法はなく、遺言状作成が民事行為として有効であるとは認められない。
ネットワークには国境はない。ハッカーやウィルスがネット上に氾濫している今、どのウェブサイトも、「間違いは決して起こらない」との保証はない。銀行の口座番号や暗証番号など自分の財産関連情報を遺言状に書き込み、それをネット上で保管し、もし他人に解読されたら、遺言状を作成した本人は、深刻な財産上の損害を被る恐れがある。
若い人が遺言状を作成する場合も、公証役場の利用など、正規のルートを選んだ方が安心だ。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年11月29日