ネット上に登場した「e遺言状」 専門家「法的効力なし」
「生前に遺言状を作成することは高齢者のすること」というのは、中国の伝統的な考え方だ。しかし最近、30歳すぎの1980年代生まれも、この「遺言書作成者」の仲間入りをしている。一世代上の人々とは違い、1980年代生まれは、遺言状専門サイト、微博(ウェイボー:ミニブログ)、QQ空間などを利用して、電子版の「e遺言状」を作る傾向にある。弁護士は、「若い頃から遺言状を作るという姿勢は、法律意識の高まりを反映しており、大いに奨励されるべきだ。しかし、ネット上の遺言状に法的効力はない」と注意を呼び掛けている。中国江蘇網が伝えた。
○「e遺言状」作成に意欲的な1980年代生まれ
インターネットの普及に伴い、遺言状専門サイト、QQ、微博などを利用して「遺言状」を作成する人が増加している。若者の遺言状の中身は、ほとんど財産に関することで、遺言状を作成する理由は、「自分に万一のことがあった場合」を心配して、という場合が多い。
不動産関係の仕事をしている徐さん(31)は、いつも外を飛び回っているため、「自分の身に万が一何かあったら」と常々心配していた。そこで、ネット上で、「自宅と車は両親に、1万元(約16万8千円)以上相当の株券は婚約者に、それぞれ譲る」とする遺言状を作成した。
ネットユーザー「@ニ子酷」さんは、「このような傾向は、我々若者のライフスタイルと関係がある。将来的に、紙版の遺言状を残す・残さないに関わらず、電子版の遺言状を作るとは良いことだ。だから、自分がQQ空間に遺言状を書くことは、何の問題も無いと思う」とコメントした。
○気運に乗って生まれた「遺言状サイト」
QQ空間や微博に書かれる遺言状のほか、遺言状専門サイトも登場した。その一つに、「あなたの人生のブラックボックス」という名前のサイトがある。ネットユーザーは同サイトで、「オンライン遺言状保管ボックス」を59元(約1千円)で購入する。遺言状保管ボックスの使用期間は1年間。購入者は、各自の利用頻度に応じて、サインインの頻度をあらかじめ登録しておく。登録した時間内にサインインが行われない場合、サイト運営者は当人あるいは当人が指定連絡人にメールあるいはショートメッセージを発信する。もし当人が死亡していることが確認された場合、サイト側は保管ボックスに残された遺言状を指定連絡人に送る。同サイトの会員数は、すでに24万人以上に上っている。
同サイトを創設した李佳氏は、「オンライン遺言状保管ボックスは、従来の正式な遺言状という訳ではなく、情報保管・情報伝達という役割を果たしている」と話した。
中国のこの遺言状サイトの形式は、英国の「ラスト・メッセージ・クラブ」というサイトに非常に似ている。ユーザーが亡くなると、サイト側は、当人が指定した連絡人に、遺言状の内容や遺産情報などが盛り込まれたメールを送る。同クラブのゴールドメンバーは、入会時に250英ポンド(約4万2千円)の会費を支払う必要があり、中国の会費に比べかなり高い。