「定年の漸進的引き上げ」の解説(2)日程に入れる必要
第18期三中全会は「定年の漸進的引き上げ政策を研究、策定する」方針を決定した。「定年は重大な社会・経済政策だ」。胡暁義・人的資源社会保障部副部長(次官)は「中国の経済・社会発展の段階と問題から見て、定年引き上げの研究を日程に入れる必要が確かにある」と述べた。新華網が伝えた。
胡氏によると、現在中国の都市住民の平均寿命は75歳以上に達している。また、労働条件が改善し、労働は以前のような激しいものではなくなっている。仮に低い定年を引き続き維持すれば、青壮年の労働への積極性を引き出すうえでマイナスだ。また、定年退職者の年金水準も維持や合理的な引き上げが不可能になる。
中国の全体的な雇用情勢は依然として労働力の供給が需要を上回るが、2012年に初めて労働力資源の総量が減少。前年比345万人減少し、全人口に占める労働年齢人口の割合は0.6ポイント下がった。これは重要なシグナルであり、今後中国の労働力が供給総量の減少期に徐々に入ることを示している。
「周知のように、経済発展は一定数の人的資源の供給による支えを必要とする。このためわれわれは青壮年の労働力を浪費する過去の粗放な方式を改め、人的資源の効果をより十分に発揮しなければならない」。胡氏は「技能訓練の強化や、定年の適切な引き上げなどは、いずれも労働力供給量を拡大し、持続可能な経済発展を確保するために必要な措置だ」と述べた。
また、中国は高齢化が加速している。全国の労働力資源と高齢人口の比率を見ると、2007年には6.85:1だったが、5年後には4.83:1へと大きく変化した。都市企業従業員基本年金制度の現在の納付者と受給者の比率は3.03:1だが、2030年前後には2:1以下にまでなると予測される。
「年金基金収支の全体的均衡、制度の持続可能な発展を確保するには、様々な収入増加・支出削減措置が必要だ。例えばカバー面の拡大、財政拠出の増額、複数ルートによる財源調達、剰余金の収益率向上などだ」。胡氏は「だが定年の適切な引き上げ、給付者と受給者の比率の急激な悪化の緩和も重要な措置の1つだ」と述べた。
胡氏は「教育事業の発展に伴い、労働者の教育期間が延び続けて、就業年齢が上がる構造が形成されてきている。それでも定年を低い水準に維持すれば、中高年の人的資源、特に女性の人的資源の十分な活用が制約され、人材強国戦略の実施にも影響が出る。現状を見ると専門職(医師、教師、科学研究者など)は、5、60歳はまさに経験豊富で技術が熟した時期であり、しかも人的資源としての代替を見つけるのが困難だ。早々に定年退職してしまえば、人的資源の大きな浪費となる」とも指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年12月11日