中米には防空識別圏より重要な事がある
バイデン米副大統領が4、5両日に訪中する。現在中米関係は両国元首のサニーランズ会談での「新型の大国間関係の共同構築」という共通認識に全体的に沿って前進している。新たな戦略・経済対話および人的・文化交流は前向きな進展を遂げ、気候変動やサイバーセキュリティ問題に関する作業部会も始動した。両国関係において比較的敏感な両軍関係も協力基調を呈している。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中米は依然多くの問題を抱えるものの、共に対立と衝突の回避を望んでいる。これは中国の台頭する時代において中米が相互信頼を強化し、アジア太平洋の安定を維持するための基礎となっている。米国は中共第18期三中全会の打ち出した改革の全面的深化の壮大なビジョンに強く注目している。
バイデン副大統領はオバマ政権発足以降の、対中政策決定の全過程に参画してきた。第1期オバマ政権でバイデン副大統領は米国のナンバー2として、中米関係の発展を積極的に推し進め、両国元首の相互訪問に助力しただけでなく、副元首の相互訪問を自ら後押しし、中米上層部間の相互信頼を深化した。今回バイデン副大統領は中国の指導者と再び会談し、中国が最近設定した東中国海防空識別圏を含め、関心を共有する重要な問題について意見交換する。
中国の東中国海防空識別圏設定は、新たな情勢下で国家の安全保障上の権益を維持するための措置だ。中国は20世紀に度々列強に踏みにじられ、主権を著しく損なわれた。中国の台湾は復帰したものの、米国は依然中国の内政に干渉し、両岸の統一を妨げている。米国はさらに中国の領土である釣魚島(日本名・尖閣諸島)を日本の管理下に渡した。そして日本は44年前に中国のこの領土を自らの防空識別圏に組み込んだうえ、昨年の釣魚島三主島の「国有化」によって現状を変更し、中国の権益に対する侵害をエスカーレートさせ続けている。これらの行為により、東中国海方面の中国の安全保障状況は悪化した。