欧州企業がEUの保護貿易に反対 特殊な「葬儀」も (2)
同スポークスマンによると、CASEは同委が欧州の太陽光産業チェーンに入っている企業の利益を考慮するよう強く求めている。この産業チェーンは中国の高品質の太陽光製品がなければ、欧州に高い付加価値と雇用機会をもたらすことはできないからだという。
▽大量の雇用機会が失われる
欧州の独立経済研究機関予測研究所がこのほど行った研究によると、EUが中国産太陽光パネルに対し懲罰的関税を課したなら、EUの消費者の間で太陽光パネル設置の需要や関連サービスの需要が大幅に減少し、ひいては雇用機会が減少し、産業チェーンの生産以外の段階での雇用機会が減少することになる。また中国の多くの太陽光関連企業が欧州から原材料、部品、製造設備を輸入しているため、保護貿易主義的行為により欧州が生み出す付加価値が減少することにもなるという。
調査により、EUが中国産太陽光製品に20%の懲罰的関税を課せば、実施から3年でEU圏では17万5500人の雇用と184億ユーロ(約239億ドル)の付加価値が失われる。60%の関税を課せば、3年で24万2千人の雇用と272億ユーロ(約354億ドル)の付加価値が失われることがわかったという。
さきに行った取材によると、ドイツの再生可能エネルギー開発企業エス・エー・ジー・ソーラーストロームのカール・コールマン最高経営責任者(CEO)は、「欧州委員会が中国産太陽光製品に懲罰的関税を課せば、欧州全体の太陽光産業が停滞すると確信する」と指摘し、中国の太陽光製品を欧州市場の外に閉め出せば、EUは炭素排出削減の目標を達成するのがますます難しくなるとの見方を示したという。