海外不動産投資、日本の前轍を踏むなかれ (2)
日本人による大量の資産購入は、米国社会に極めて大きな反響を呼んだ。米国メディアは、かつて真珠湾を奇襲した日本が、現在では経済で米国全土に侵入していると驚きの声を上げさえした。米国人は、このまま行けば、日本人に自由の女神を買い取られる日がくるとも予測した。当時の日本国内に目を向けると、メディアを含め、多くの日本人は自らの世界規模の購入に狂喜していた。だが、短い喜びの後で、悪夢が始まった。三菱はロックフェラー・センター購入後間もなく、経営不振で、巨額の赤字に耐えられなくなり、購入時の半額で再び米側に売却せざるを得なかった。
90年代以降、日本は米国の資産を大量に買収する勢いを次第に失った。かつて買収した少なからぬ資産が経済的負担に変り、収入をもたらさないばかりか、処分する方法を考えなければならなかった。ITなど新技術の急速な発展によって、日本の買収した従来型産業の収益力はさらに下がった。最終的に人々は、当時近視眼的だと思われた、不動産、企業など米国資産の売却側が実は正しかったことを認めざるを得なくなった。彼らは資産売却時、その後可能性のあった利益を全て前倒しで得たうえ、大量の資金を入手したことで米国は新技術革命の基礎を固められたのだ。常に経済指標のみを考える米国のビジネスマンは経済的利益を得たのみならず、再び将来の発展の機先も制したのだ。
「前車の覆るは後車の戒め」。これは警戒に値する。このところ米国メディアは、中国からの巨額の投資がニューヨークなどの不動産市場に流入していることを多く報道しているうえ、これを80年代の日本による米国買いと同列に論じている。専門家は、経済回復が緩慢な中、米国は中国資本を歓迎し、警戒してもいると指摘する。当時日本が対米投資で遭った目を思えば、中国は米国が取り得る各種手段に対して警戒すべきだ。