中日韓自由貿易協定 交渉がスタート (3)
また磯野氏によると、中日韓でスタートした自由貿易圏交渉は今月20日に始動した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に動力を提供し、ASEAN諸国に利益をもたらすという。
シンガポールのオーバーシーズ・チャイニーズ銀行(OCBC、華僑銀行)の謝棟銘・経済アナリストは、取材に応える中で次のように述べた。中日韓自由貿易圏交渉のスタートには重要な意義がある。3カ国の自由貿易圏が建設されれば、地域内での貿易往来を促進することになる。現在、欧州の債務危機が拡大を続け、米国経済の伸びが鈍化している状況の下で、3カ国が自由貿易圏交渉をスタートさせたことは、中国の欧米市場への依存度を引き下げ、欧米市場への輸出の減少による損失を穴埋めする上でプラスになる。
また謝アナリストによると、中国が発表した今年10月の対外貿易データをみると、中国の輸出は好調で前年同月比11.6%増加し、増加率は前月の9.9%を上回ったが、対欧州輸出は同8%減少し、対米輸出の増加率は9.1%にとどまった。その一方で、対ASEAN輸出には目を見張る成果があった。商務部がまとめた統計によると、今年1-10月に対ASEAN輸出は前年同期比19.4%増加した。このため、世界経済の復興に不安定さがみられる状況の中で、中国が東南アジア地域や北東アジア地域を含むアジア地域向けの輸出を増やせば、中国経済の安定にとって極めて大きな作用を発揮することになる。中日韓はアジアの三大経済体であり、3カ国間の自由貿易圏交渉は地域の貿易協力を促進させるだけでなく、グローバル経済やグローバル貿易の安定にとっても重要な役割を果たすとみられる。(編集KS)
「人民網日本語版」2012年11月21日