米日の通貨大量発行は「通貨の津波」招く可能性あり (2)
曁南大学国際商学院の孫華妤教授は、「欧米日ともに経済が不調で、特に欧州と日本は衰退に向かっており、こうした状態では経済活性化策を取って経済振興をはかることが必須の選択になる」と指摘し、さらに次のように述べた。経済活性化策には2つの手がある、財政政策と通貨政策だ。これらの国はみな財政赤字に陥り、巨額の債務を抱えており、財政政策という手を使うには限界がある。そこで通貨政策というもう一つの手を使うしかない。通貨政策は伝統的に金利の調整を土台とするものだが、現在はゼロ金利が続いており、これ以上の引き下げの余地はなく、通貨の量を増やすという手段を取ることしかできない。
▽通貨価値の引き下げが続けば通貨戦争につながる
米日の量的緩和というやり方はそれほど使い勝手がよいものではない。孫教授の指摘によると、経済を取り巻く状況が思わしくない時に、通貨の量を増やす政策を取って経済を活性化させるのは間々あることだが、このやり方は表面をなぞるものに過ぎず、根本的な解決にはならず、長期にわたれば効果を失い、通貨の価値を下げてインフレをもたらすことになる。このため通貨を増やすことが実際にはそれほど求められていない。
中国国際経済交流センター情報部の徐洪才副部長は取材に応える中で次のように述べた。日本は1990年台からずっと通貨緩和政策を採り続けてきたが、その効果は高く評価できるものではない。日本経済には構造的な問題がある。日本は輸出依存型の経済であり、グローバル経済情勢の影響を大きく受けるという問題だ。
量的緩和政策を多用すれば自身にとってマイナスになるだけでなく、他者にも損害を与える。日銀の白川方明総裁によると、国際市場をながめれば、日本は世界3位の経済大国であり、短期的には自国通貨の大幅な値下がりを放任しており、今後は必ず国際金融市場に混乱をもたらし、新たな通貨戦争を引き起こす可能性もあるという。商務部研究院の白明研究員によると、現在の状況から考えて、各国の量的緩和政策はまだ相対的に孤立したものであり、それぞれの出発点は基本的には国内経済の振興だ。このためまだ通貨戦争を引き起こすには至っていない。だが多くの国が相次いで流れにのって通貨の価値を引き下げるような動きをすれば、通貨戦争を引き起こすリスクが高まる。