穏やかな気質で知られる日本人社会に「悪口まつり」
日本語には、系統だった「敬語」や「ていねい語」があるため、「浄化された優雅な言語」と考えている人も少なくない。また、日本語は他人を罵る単語が少なく、日本人は罵るにしても普通「穏やかに」罵る。日本語には他人を侮辱するための単語が20-30個しかなく、「メンツ」を理由に使用されることがほとんどないため、時間の経過と共に「死語」になっていくとする研究もある。一方、西洋のある学者は、「実際には、日本語の中には、日本の文化環境の中で、外国人の想像をはるかに超えた『殺傷能力』を持つ単語もある」と指摘する。現実の生活の中で、日本人は穏やかで上品であることで知られるが、特定の場面、例えば、悪口を言い合う「悪態まつり」などでは、日頃のストレスを思いっきり発散する。環球時報が報じた。
■世界「公認」の悪口「バカ」
世界で最もよく知られる日本の悪口の1つは「バカ」だろう。「頭が弱い」や「間抜け」、「ろくでなし」と言う意味で使われる。関西では「バカ」の代わりに、「アホ」がよく使われる。語源に関しては、さまざまな説がある。例えばサンスクリット語で「痴、愚か」を意味するmohaの音写である「莫迦」の読みが語源とする説や、中国の歴史書「史記」の「鹿を指して馬という」の故事を語源とする説などがある。一方、過去において「バカ野郎」とほかの人を罵る日本人も多かったが、この言葉はすでに「時代遅れ」と見なされている。また、現在「バカ」や「アホ」は使われる場によって意味が変化し、多くの場合、親しい友人を軽く揶揄(やゆ)したり、からかったりする際に用いられるが、仕事などの正式なシーンでは、やはり侮辱する言葉と捉えられてしまう。日本では現在、広い意味合いがあり、さまざまなシーンで使える「変態」や「非常識」、「理解不能」などの言葉を使って、相手の知能の低さを非難し、不快な気持ちを表す傾向がある。
日本人が用いる悪口の別の語源は文字通り不潔で醜いものだ。うちよく用いられるのは「ゴミ」、「くそ」、「かす」などだ。うち「くそ」は、「くそ野郎」、「下手くそ」などほかの言葉と組み合わせて使われることも多い。また、小泉純一郎元首相は反対派から「変人」と呼ばれ、「右翼政治家」と言われている日本維新の会の石原慎太郎氏は「暴走老人」と呼ばれている。さらに「外見」を重視する日本人は人の容姿を侮辱することも多く、女性にとっては「大根足」や「ぺちゃぱい」などの言葉はダメージが大きい。
■「虫」や「魚」も軽蔑する言葉に
日本語において、使用率、侮辱度ともに高い言葉に「けだもの」や「虫」という言葉がある。例えば「泣き虫」や「弱虫」などがある。また「雑魚」や「タコ」など、日本人が好きな魚類も軽蔑する言葉に用いられることがある。