2013年の世界経済 米国・欧州・日本のリスクを分析 (2)
アナリストは、「欧州債務危機の発生から現在までに、次の三つの根本的な矛盾が発生している。つまり、中心国・非中心国間の利益の矛盾、中心国間の権力バランスの矛盾、有権者・政党間の矛盾だ」と指摘した。上述した矛盾は近年、絶えずエスカレートし悪化を続けている。ユーロ圏の失業率が上昇し、金融システムが脆弱化し、国債のリスクが高まっている。財政引き締めと経済低成長が、悪性循環に陥っている。
欧州債務危機は、EU加盟国に金融引き締めを強いており、EU経済を苦境に陥らせている。2012年のユーロ圏の経済は、3年ぶりのマイナス成長に陥った。EU統計局のデータによると、EUのGDP成長率(前四半期比)は、2012年第1四半期が0%、第2四半期がマイナス0.2%、第3四半期が0.1%となった。またユーロ圏のGDP成長率(前四半期比)は、2012年第1四半期が0%、第2四半期がマイナス0.2%、第3四半期がマイナス0.1%となった。ユーロ圏の経済は2012年第2・3四半期にマイナス成長となったが、これは正式に衰退に陥ったことを意味する。
EU経済の成長率の低下に伴い、EUの雇用状況が悪化を続けている。EUの最新の統計データによると、ユーロ圏の2012年9月の失業率は11.6%、EUの失業率は10.6%に達した。スペインやギリシャなどの失業率は25%に達した。これらの国の青年(25歳以下)の失業率はより深刻で、50%を超えた。つまりスペインやギリシャの若者の過半数は、職を持たないことになる。
経済協力開発機構のチーフエコノミストのエール・カルロ・パドアン氏は、「欧州債務危機の収束はほど遠く、ユーロ圏の経済は依然として脆弱だ。金融システムと政府債の間に、互いに足を引っ張る悪性循環が形成されている可能性がある」と指摘した。