下半期の人民元情勢 上昇それとも鈍化?
人民元相場は上半期の「ロケットのような」値上がりの後、今年半ばには上昇の歩みを緩めることになった。現在、国内経済の下ぶれ圧力が増大し、輸出は困難を抱え、海外では米国がまもなく量的緩和政策(QE)から撤退するとの見込みがささやかれ、米ドル指数が上昇している。何重もの困難が作用する中、下半期の人民元はどのような情勢になるだろうか。関連分野のある専門家の予測によると、人民元には高騰あるいは下落をもたらす要因がともに存在し、今後は緩やかな情勢の中で双方向に揺れ動く可能性があるが、揺れ幅はそれほど大きくないという。「人民日報」海外版が伝えた。
▽上半期の記録更新は21回
今年の春節(旧正月、今年は2月10日)から6月中旬にかけて、人民元相場は急速な上昇を続け、2005年7月の人民元レート改革スタート以来の記録を相次いで21回も更新した。最近は上昇傾向が止まったが、全体として上半期の上昇幅は相当なものだったといえる。
▽大量の資本流入が人民元の上昇推進
人民元が上半期に猛烈な勢いで上昇したのは、市場における外国為替の供給と大いに関係がある。中でも主導したのはホットマネーだ。
曁南大学国際商学院の孫華妤教授の指摘によると、中国の為替市場は需給関係と管理要因(中央銀行の介入など)によって決定される。需給関係には資本の流入や貿易黒字が含まれる。上半期には貿易黒字が目立ち、このうち一部分は本来のルートではないところを通ってやって来たホットマネーで、大量の資本が流入したことにより市場では外国為替の供給が多くなった。
国際市場のホットマネーはなぜ中国を好感するのだろうか。孫教授の分析によると、第一の原因は、中国の金利は海外より高く、ホットマネーが利ざやを稼ぐ余地があるためだ。第二の原因は、他国に比べて中国の経済成長に対する期待が高く、人民元が上昇するとみなす人は多く、このため大量の外国為替が流入して人民元の上昇を後押ししためだ。これと同時に、人民元の上昇期間に中国人民銀行(中央銀行)が特に介入を行わなかったため、上昇ペースが一層加速したことが挙げられる。