ペダル踏み間違えても自動ブレーキ トヨタが新技術公開
飛び出してきた人形の前で自動的に停止するトヨタの実験車両=12日、静岡県裾野市、高橋雄大撮影 |
【若松潤】トヨタ自動車は12日、交通事故の軽減に向けた最新の安全技術を公開した。駐車場などでアクセルとブレーキを踏み間違えても壁にぶつからずに止まったり、高速走行時の追突事故を防いだりする。近く全面改良するクラウンを皮切りに幅広い車種に搭載していく。
トヨタによると、ペダルの踏み間違いによる事故は年間7千件程度起きており、特に駐車場内で多い。
今回、開発した新技術は、高齢者や運転に不慣れな人がアクセルとブレーキを踏み間違えても、音波で車の前や後ろにある壁などの障害物を検知。警報を鳴らすとともに、自動でブレーキをかけたり、エンジンの出力を下げたりする。
また、追突防止は現在、レーダーと赤外線とカメラの3種類で前の車を検知しているが、新技術はレーダーのみにすることでコストを削減。警報や車内のディスプレー表示で危険を知らせるほか、ブレーキの踏み込みが甘い場合は踏む力を2倍に補助して急減速させる。踏み忘れた場合も追突前に自動でブレーキをかける。
これまでの追突防止技術は前方の車との時速差が20-30キロ程度までしか機能しなかったが、新技術は高速運転で時速差が60キロまで機能するように改良した。業界トップレベルで、実際の追突事故の約9割に対応できる計算だという。急ブレーキをかけた際は、ブレーキランプを点滅させて後続車に知らせる。
4月には、静岡県裾野市の東富士研究所内に「ITS実験場」を新設。無線を活用した安全技術の研究も本格化させている。地上アナログ放送で使っていた周波数を活用し、交差点で見えない場所にいる車や歩行者の存在を、運転者に車内のディスプレー表示で知らせる技術の実験などを重ねている。吉田守孝常務役員は「幅広い車種に安全技術を載せ、事故を防ぎたい」と述べた。
asahi.com 2012年11月13日
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