インフラ点検歴一覧化へ 国交省、トンネル・橋など
【木村聡史、稲田清英】トンネルや橋、水門といった全国のインフラ(社会基盤)について、点検・補修の履歴、構造、築年数などを一覧できるデータベースづくりに国土交通省が乗り出す。中央自動車道笹子トンネルで起きた天井崩落事故を機に、老朽化への対策や必要な維持・管理を効率よく進めるためだ。
システムをつくるための調査費を今年度の補正予算案か、遅くても新年度の当初予算案に盛り込む方針。
具体的には、いつ、どんな点検や修繕をしたか▽構造に注意が必要な特徴はあるか▽使われ始めて何年たつか、といった情報を蓄積する。どこにどんな施設があるかだけでなく、点検や修繕の履歴を中心に集める「カルテ」だ。都道府県や市町村、高速道路を管理する高速道路会社などからも情報を集める。
まず国が使い、万一の事故への対応や、老朽化対策を進めるのに生かす。身近にある橋やトンネルがどう管理されているか分かるように、住民が閲覧できるようにすることも検討する。
笹子トンネルの事故では、国交省は同じつり天井方式のトンネルが全国にいくつあるかをすぐ把握できず、緊急点検の指示にも時間がかかった。情報は国や自治体、管理会社などがそれぞれ持つためだ。
一方、インフラの老朽化対策は重要な課題だが、財政難などで対策が後手にまわっている自治体も多い。国交省は今後50年で、維持・管理や更新費用に約190兆円が必要とみる。情報を細かく集め、点検や修理を前倒しで効率的に進めることができれば、結果的に費用を抑えられる可能性があるとみている。
asahi.com 2013年1月4日
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