笹子トンネルだけ打音検査せず マニュアルでは義務
【工藤隆治、中田絢子、村田悟】山梨県の中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故で、天井板を固定する金属ボルトの異常を検知する打音検査が、高速道路会社3社が共有する点検マニュアルで義務化されていたことがわかった。中日本高速道路は他のトンネルでは実施していたが、笹子トンネルだけは「目視で異常を確認した場合」と条件付きに切り替えて運用していた。
点検マニュアルは中日本と東日本、西日本の高速道路3社が前身の日本道路公団から引き継いだものをもとに民営化後の2006年に共同で作成。定期的に実施する詳細点検は「構造物の健全性を把握するため近接目視・打音等により詳細な診断を行う」と定義している。打音検査はコンクリート内部の腐食やボルトのゆるみを異音で検知する。
中日本高速もマニュアルに沿って詳細点検をしていたが、笹子トンネルだけは同マニュアルの「天井板の留意事項」の項目にある「目視で確認するなどの配慮が必要」との記述をもとに、異常があれば打音検査するという運用をしていた。
asahi.com 2012年12月6日
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