日本で昨年10月に行われた国税調査の都道府県別人口速報集計の結果をみると、人口高齢化の問題が引き続き悪化していることがわかる。記者はこのほど四国を取材し、高齢化がもたらした地方の凋落の風景を目の当たりにした。
四国は日本4島の1つで、面積は約1万8800平方メートル、徳島、香川、高知、愛媛の4県から成る。2010年の調査では、四国95市町村のうち、人口が5年前に比べて増加したところは5カ所しかなく、近年は若者の割合が低下を続けている。
徳島県庁の関係者によると、2013年10月1日時点で、同県では65歳以上の老年人口は29.1%を占めており、20年には県民3人のうち1人が65歳以上になることが予想されるという。
同県上勝町は人口高齢化が最も深刻な地域の一つだ。同町の人口は1955年に6265人でピークに達した後、16年4月は1662人となり、町民の半分以上が65歳の高齢者だ。
車で徳島市から上勝町へ移動すると、道には人影もなく、上勝町コミュニティセンターにも人の動く気配はない。かろうじて帰り道に、80過ぎとおぼしき男性とその妻らしき電動車いすに乗った腰の曲がった女性を見かけた。
同県日和佐町の街並みには、パチンコ「ビッグマウンテン」がある。人で溢れるはずの娯楽施設だが、今では草に覆われている。店の入り口付近の立てられた「土地売ります」の看板は、今では字もはっきり読めない。ホコリにまみれた窓ガラスを透かして、店内にずらりと並んだパチンコ台がぼんやりと見える。床に散らばったパチンコ玉の様子から、長らく訪れる人もないことがわかる。