このほどアベノミクスに関する取材をうけた中国社会科学院日本研究所の張季風所長補佐は「アベノミクスは予想されていたような成果をあげていない。日本経済を低迷から脱却させることもないまま、計画されている長期政策目標もほとんど実現されていない。いわゆる日本病への治療効果が見られない」とした。
安倍晋三氏が2012年末に首相に就任してから、日本経済回復を目指して、まず「金融緩和」、「財政出動」、「成長戦略」というアベノミクスの基本方針である「三本の矢」が放たれた。継いで、「希望を生み出す強い経済」、「安心につながる社会保障」、「夢をつむぐ子育て支援」を「新三本の矢」として発表。しかし、アベノミクスの「三本の矢」は実施から3年以上経っているが、その成果はどうなっていて、また「新三本の矢」の見通しはどうなのだろうか?この点について、張所長補佐は次のように述べた。
「日本経済の持病は主に経済成長の低迷、財政問題、企業のイノベーション能力の不足という三点が挙げられ、我々はこれを『日本病』と呼んでいる。アベノミクス実施以降も『日本病』は一向に好転の気配が見られない。経済成長率の点から見てみると、2013年の日本会計年度の実質GDP成長率は2%、2014年にはそれがマイナス1%に、2015年には0.8%に低下しており、3年間の成長率平均は0.6%となっている。しかも過去20年間の実質GDP年間成長率の平均は0.8%であることを鑑みると、日本の経済成長率は安倍政権発足前に比べ、好転するどころか、かえって落ち込んでいることがわかる。また財政面においても、税収の増加は見られるものの、財政債務も引き続き増加し続けている。企業のイノベーション能力の面では、現時点において少なくともアベノミクスの刺激による目立った作用は見られない」。
張所長補佐はアベノミクスが掲げる主な指標から見ても、アベノミクスが予想されていたような目標に達していないことがわかると指摘している。インフレ指標を例に見てみると、アベノミクスでは2年以内に消費者物価指数(CPI)を2%上昇させることをその目標としているが、3年経った現在でも依然として達成されていない。2015年の日本のコアCPI(生鮮食品を除く総合)上昇率はわずか0.5%で、2016年3月にはマイナス0.3%に低下している。日銀はCPI2%上昇の目標実現を2017年度まで先送りしている。では2017年には目標を実現できるのかと言えば、はなはだ疑わしい。例え実現できたとしても、2年間の目標を6年かけて達成したことになるわけで、とても成功したとは言い難い。