ベトナム訪問中のオバマ米大統領は23日、ベトナムに対する武器禁輸措置の全面解除を発表した。西側メディアはただちに注目し、解釈を行なった。米CNNは速報で、両国の防衛協力の強化を目指す決定だと双方の指導者が表明したと報じた。報道はまた、地域で勢力を拡大する中国に米越が共同で対処するものだと故意に解釈した。当然、米越協力を注視するのは過度に非難すべきことではないが、解釈において南中国海問題を持ち出し、中越関係と結びつけるのは悪意ある煽動的報道の嫌いを免れず、事実とも必ずしも合致しない。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
近年、米国とベトナムでは両国の協力を支持する声に事欠かない。経済面では、両国は協力拡大を望んでいる。1990年代に米国との貿易関係を再開すると、ベトナムは迅速に米国の重要な貿易パートナーの1つとなった。米国からすると、ベトナムは人口9000万を超え、「中進国」へと成長しており、発展の潜在力を備えている。米国はベトナムで貿易・投資市場を開拓することを望んでいる。ベトナムは持続的な経済発展への米側の手助けに期待しており、米国市場への一層の参入を計画している。これは米国主導の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)にベトナムが参加する重要な理由の1つでもある。
政治面では、双方は政策の意思疎通の強化を望んでいる。「アジア太平洋リバランス」戦略の実施に伴い、地域の問題に対して米国は影響力を高めている。ベトナムはインドシナ半島さらにはASEANにおいてわりあい重要な国だ。両国は地域の問題において意思疎通をすべきだと考えている。
安全保障面では、米越共に協力の原動力がある。ベトナムは軍事の近代化に尽力しており、武器禁輸措置解除は米国との武器取引の促進につなげることができる。米国内には南中国海問題で米越が協調を強化することを支持する声や、米国主導の安全保障システムにベトナムを組み込むことを主張する声まである。