南開大学日本研究院の劉雲客員研究員は、「日本側が今年、対中米輸出を拡大しようとしているのは、表面的にみれば、今年に入り日本政府が大使館を通じて農産品の輸出を促進する一連の政策のキャンペーン活動を行ったことがきっかけだ。ここ数年、日本政府は農産品輸出を大変重視し、特に今年は農産輸出を重点事業に据えた。各国における農産品の輸出を推進することで、農業の産業としてのバージョンアップを促進したい考えで、中国もそのターゲット国の一つだ」と指摘する。なぜ米なのかといえば、「中国の消費者の間で最近は日本米の認知度が上がったことから、日本が中国により多くの米を輸出することを検討するようになったため」という。
深層レベルでみると、対中米輸出拡大は日本のTPP加盟と関連がある。劉客員研究員はさらに踏み込んで、「国境を越えた貿易活動において、労働力コストの点で、日本の農産品が抱える主な問題は価格の高さだ。TPP交渉の重点の一つは日本の農産品市場の門戸を開放することだ。TPPの協定文はすでに調印されており、発効は時間の問題で、そうなれば日本の価格の高い農産品が打撃を受けることは避けられない。劉客員研究員は、「こうした動きが日本の外食産業や農産品に新たな位置づけの模索を迫り、日本が選択したのは『高級農業路線』だった。この路線が実際に体現するのは、農産品の生産における日本の優位性だ。日本政府は、優位性の向上を通じて、日本の農産品の国際貿易における位置づけを見いだし、輸出量を増やそうと考えている」と説明する。
また劉客員研究員によると、「実績を作るために、日本の農産品の国際高級化路線を推進するのは、安倍内閣のここ数年の主要任務の一つでもあり、目立った成果を上げている。昨年の農産品輸出は大幅な増加を達成した」という。
日本の農林水産省がまとめたデータによれば、15年の日本の農産品輸出額は61億5千万ドル(約6243億円)で前年比21.8%増加した。3年連続の増加で、過去最高も更新した。このうち米は2156万ドル(約21億9157万円)で同56.4%増加した。
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